アマゾンウェブサービスジャパンは2019年9月27日、説明会を開き、Dockerコンテナを運用する上での課題を解決するクラウドサービス群について紹介した。同社のコンテナサービスの事例としてメルカリが登壇し、マシンラーニングの学習用基盤としてGPU計算資源をコンテナで活用している様子を紹介した。
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説明会では、メルカリでCTO(最高技術責任者)を務める名村卓氏(写真1)が登壇し、コンテナを運用する上でのAWS(Amazon Web Services)の活用方法を紹介した。同社は、イメージサーチ(写真画像による商品検索)などにマシンラーニング(機械学習)を利用しており、マシンラーニングの学習基盤としてAmazon EKS(Amazon Elastic Kubernetes Service)を活用している。
メルカリでは、学習環境を構築する際に、コンテナ運用基盤ソフトウェアであるKubernetes(K8s)が備えるCRD(カスタムリソース定義)機能を活用してGPUの計算資源を調達・配備している。学習に必要なシステムリソースを定義しておくことで、最小限のパラメータを与えるだけで定義済みのリソースを用意できる。
Amazon EKSは、マネージド型のKubernetes環境である。Amazon EKSを利用することで、Kubernetesをより容易に利用できる。また、メルカリで扱う全画像をオブジェクトストレージのAmazon S3に格納しているので、Amazon S3との連携のしやすさからもAmazon EKSが向いているという。
メルカリではまた、マネーロンダリングへの対策などのため、個々の取引のログを分析し、異常な取引を検出している。ログの収集パイプラインとして、Amazon Kinesisを使っている。この際に、ログの増減に対して計算資源をスケールさせる作業が大変なので、AWS Fargateを使っている。AWS Fargateを使うと、コンテナの計算資源となるサーバークラスタを管理することなくコンテナを実行できる。
コンテナの課題を解決するサービス群を提供
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アマゾンウェブサービスジャパンからも、同社のコンテナ関連サービスを紹介した。同社でスタートアップソリューションアーキテクトを務める塚田朗弘氏(写真2)は、「コンテナを使う上での課題を解決するサービス群を提供する」とアピールする。
塚田氏が挙げるコンテナの課題は大きく4つある。(1)オーケストレーション(複数のサーバー上のどこでコンテナを動かしてどう負荷分散するのか)、(2)イメージレジストリ(コンテナイメージをどこにどう安全に保存するのか)、(3)「ホスティング」(コンテナを動かすためのサーバークラスタをどう管理するのか)、(4)「その他」(サービスメッシュとかモニタリングをどうするのか)である。
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