ファナティックは2019年10月23日、ユーザー企業のオンプレミスサーバーで稼働する基幹システムをファナティック製のサーバーに移行する「ファナティック ハード入替サービス」において、初めてSAP R/3稼働サーバーの移行に成功したと発表した。「SAP2025年問題」に取り組むユーザー企業にとって有効なソリューションであるとアピールする。
ファナティックは、企業や大学・研究機関向けのサーバー、ストレージ、産業用PCなどをオーダーメイドで製造するコンピューターメーカー。長期供給、少量多品種、特殊なカスタマイズなど他のメーカーでは実現が難しい要件への対応を特徴としている。
発表によるとファナティックは、「SAP R/3」から「SAP S/4HANA」へのバージョンアッププロジェクトを計画する同社の顧客(電子部品メーカー)より、S/4HANAが稼働するまでの数年間、R/3を維持するための対策の相談を受けたという。バージョンアップには数年の期間を要するが、その間、R/3が稼働するサーバーハードウェアの経年劣化による故障リスクが高まることが課題となっていた。
その顧客は、第3者保守サービスの採用も検討したが、中古部品かつベストエフォート型のサポートでは完全なリスク回避はできないと判断。最終的に、顧客のサーバーを、ファナティックがオーダーメイド型で構築する新品ハードウェアに物理移行(注1)するファナティック ハード入替サービスを採用した(図1)。
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注1:物理コンピューターから物理コンピューターへそのまま移行するP2P(Physical to Physical)方式で、仮想化(P2V)とは異なるアプローチ
R/3を含むSAP ERPは、2025年にサポートを終了する計画であることが発表されており、「SAP2025年問題」と呼ばれている。SAP ERPを運用中の多くの企業は、後継のS/4HANAへのバージョンアップを計画しているが、アーキテクチャが大きく変わることから、開発期間の長期化やバージョンアップ費用の肥大化、現行システムの安定維持などが課題とされている。