MM総研は2021年2月15日、国内企業2000社(年商50億円以上:958社、年商50億円未満:1042社)を対象にWebアンケート調査を実施し、2021年1月時点のRPA(ロボットによる業務自動化)の利用状況をまとめた。AI-OCRの導入率は2021年1月時点で7%と少ないが、RPAの導入企業に限れば導入率は15%である。AI-OCR市場はRPAをテコに広がりを見せる。
MM総研は、国内企業2000社(年商50億円以上:958社、年商50億円未満:1042社)を対象に、2021年1月時点のRPA(ロボットによる業務自動化)の利用状況を調査した。RPAの主要18製品を対象に、導入率の推移、各種満足度、今後の利用意向などを調べた。
自動化の範囲を広げる取り組みとして、RPAユーザーはAI関連の製品・サービスを組み合わせている。代表的なものの1つが、申請書などの紙の書類をテキスト化するAI-OCR(光学文字認識)である(図1)。
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AI-OCRの導入率は2021年1月時点で7%と少ないが、RPAの導入企業に限れば導入率は15%である。AI-OCRを検討中の企業も50%とかなり多い。MM総研では、AI-OCR市場はRPAをテコに広がりを見せる、としている。
なお、AI-OCRのシェアは、AI insideの「DX Suite」が21%で1位だった。2位はNTT東日本の「AIよみと~る」で13%、3位がキヤノンITソリューションズの「Capture Brain」で12%だった。
RPA導入企業におけるRPAの活用度合いが向上
RPAの導入率は、年商50億円以上では37%と、前回調査時点(2019年11月)から大きな変化はない。企業は、直近1年のIT投資を、Web会議、グループウェア、ネットワーク再構築、セキュリティなど、在宅勤務の環境構築に振り向けたため、RPAを新規に導入した企業が増えなかったとMM総研は見ている。RPAを準備中・検討中とした企業の割合も、9ポイントほど下がった。
この一方で、既にRPAを導入している企業においては、RPAの活用度合いが向上している。導入率37%の内訳は、「本格的に活用している」が16%、「テストまたは部分的に活用している」が21%だった。前回調査よりも「本格的に活用している」が5ポイント増えた。
RPAの利用促進という点では、新型コロナウイルスはポジティブな影響を与えている。活用部門数や業務数の変化を聞くと、「増えた」が47%で、「減った」は14%に留まった。MM総研では、限られた従業員で業務を遂行したり、在宅で効率的に作業するためにRPAを活用するケースが増えているためと見ている。
なお、以前の調査では複数のRPAソフトウェアを利用している企業が半数を占めていたが、今回は3割ほどに減った。MM総研では、比較検討・テストが終了し、本番稼働に移っているためだと見ている。
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