IDC Japanは2021年6月28日、2020年の国内クライアント仮想化製品市場の調査結果を発表した。シンクライアント専用端末、クライアント仮想化製品(オンプレミス)、クライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)の3分野について、主要ベンダーの競合状況を分析している。
IDC Japanは、2020年の国内クライアント仮想化製品市場について、クライアント仮想化製品(オンプレミス)、クライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)の3分野の動向を発表した。
クライアント仮想化製品(オンプレミス)市場の売上額は6336億円で、前年比9.8%減で、同分野としては初の前年比マイナス成長となった。ベンダーシェアは、富士通、日立製作所、伊藤忠テクノソリューションズ、日本IBM、NTTデータ、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、NECの順で。富士通が2年ぶりに1位となった(図1)。
同市場が初めて前年比マイナスになった要因としてIDCは、2020年4月の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う緊急事態宣言の発出を挙げる。その影響で、2020年下半期は徐々に延期になったり、一旦保留になった案件が増加したという
クライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)市場の売上額は815億円で、前年比3.3%増だった。ベンダーシェアは、NTTデータ、富士通、日鉄ソリューションズ、インターネットイシニアティブ)IIJ)、NEC、日立の順だった。
IDCによると、2020年から、プライベートクラウド型のDaaSに加えて、パブリッククラウドを利用したクライアント仮想化サービスが増えており、2021年も同様の傾向が進むとしている。
シンクライアント専用端末市場の出荷台数は、総計31万6142台で、前年比15.5%減だった。ベンダーシェアは、HPE、富士通、デル、Atrust(エートラスト)、NECの順。フォームファクター別では、全体の約6割超をモバイル型シンクライアント端末が占めた。ここ数年、モバイル型の割合が上昇傾向を示しているという。
「シンクライアント専用端末は、過去最高出荷台数を記録した2019年からはマイナス成長となったが、30万台を超えたことを踏まえると、市場全体は堅調だった。COVID-19の影響を受けつつも、2019年から金融、通信、情報サービス、製造での大型案件が継続している」(同社)
2020年のクライアント仮想化市場を概観すると、在宅勤務の増加とそれに伴うリモートワーク需要とユースケースの多様化で導入が進んだという。「多くは更改案件や既存案件のユーザー数拡大である。2021年のクライアント仮想化市場は、リモートワーク、ゼロトラスト、ISMAP〈政府情報システムのためのセキュリティ評価制度〉、ハイブリッド、ライセンスの5つの事項が影響を与える」(同社)
今回の発表は、IDC Japanが発行した『国内クライアント仮想化市場シェア、 2020年: Future Enterprise 実現へ向けて』で詳細を報告している。同調査レポートでは、国内クライアント仮想化市場のベンダー競合状況を分析してまとめている。