[市場動向]
「シフト」か「リフト&シフト」か─ITRが指南するクラウド移行の戦略と事業者の選定ポイント
2022年4月18日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)
アイ・ティ・アール(ITR)は2022年4月14日、クラウド活用戦略立案とクラウド事業者選定の重要なポイントを解説したホワイトペーパーを発表した。ホワイトペーパーのタイトルは『DX推進のためのクラウド選定指針 〜RFPテンプレートによる迅速な候補事業者選定〜』。クラウド事業者(CSP)を戦略的パートナーと捉えて、選定基準を再考する必要性を指摘し、選定にあたっての考え方や、RFI/RFPを用いた選定手法を解説している。
DXとクラウドはIT動向施策の最重要テーマ
ITRの『IT投資動向調査2022』(2021年8月~9月調査)によると、企業が考える主要なIT動向の施策は「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」であるという。また、「基幹系システムのクラウド化の実践」「マルチクラウド環境の採用」が上位にランクインしており、デジタルトランスフォーメーション(DX)とクラウドが企業にとって最重要テーマであるとしている(図1)。
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今日、クラウドの利用において、クラウドネイティブアプリケーションを選択する企業が増えている。ITRは、オンプレミス(自社運用)環境からクラウドへの移行方法である「シフト」と「リフト&シフト」について、特性の比較を示して以下のように説明している(図2)。
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「シフト」は、オンプレミスで運用中の既存アプリケーションを一足飛びにクラウドネイティブアプリケーションに移行する方法である。図2にあるように、クラウドネイティブの恩恵をより受けられる方法だが、多数のアプリケーションを運用する企業がそのすべてをクラウドネイティブ化するのは多大な時間とコストを要するため非現実的であると同社は述べている。
一方、「リフト」は、既存アプリケーションをそのままIaaSに移行する、または最小限の改修を行ってクラウドに移行する方法を指す。図2にある「リフト&シフト」は、まずはリフトを行った後にネイティブアプリケーションに改修または再構築する方法で、シフトで見られる移行費用や移行期間の問題をクリアした合理的な方法であると言える。
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