[市場動向]
リコーがPFUを子会社化、複合機にPFUのスキャナ技術が加わり、紙文書のデジタル化が高機能に
2022年4月28日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三
リコーは2022年4月28日、同日開催した取締役会において、富士通からPFU(本社:石川県かほく市)の普通株式の一部(発行済株式数の80%)を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結した。株式取得実行日は同年7月1日を予定し、PFUはリコーの連結子会社となる。取得価額は株式が840億円で、アドバイザリー費用などが2億円。
リコーは、2022年4月28日に開催した取締役会において、富士通からPFUの普通株式の一部(発行済株式数の80%)を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結した。株式取得実行日は同年7月1日を予定し、PFUはリコーの連結子会社となる。取得価額は株式が840億円で、アドバイザリー費用などが2億円。
(表1)。
図1:PFUの事業ポートフォリオと、リコーの注力分野の関係(出典:リコー)拡大画像表示
リコーの狙いは、同社が成長加速領域と位置づけているオフィスサービス事業を拡大させることである。PFUの主力事業の1つは、紙文書をデジタル化で入力ポイントとなる業務用スキャナ事業である。リコーの複合機にPFUのスキャナが加わることで、文書をスキャンしてデジタル化するデータ入力ポイントを強化する(図1)。
PFUはまた、マルチクラウド環境の構築・運用サービスやマネージドセキュリティサービスなどのITマネジメントサービス事業や、産業用コンピュータボードなどのコンピュータ製品事業も行っている。これらにより、ユーザーに近い現場のデジタル人材や、エッジデバイス/ソフトウェアの技術人材などの人的資本を強化する。
リコーは、PFUの子会社化により、(1)文書をスキャンして活用するデジタルサービスの展開、(2)国内のITマネジメントサービスの強化、(3)産業用コンピュータ事業でのシナジーによる安定収益の創出の3つを実現・強化する。
(1)では、業務用スキャナを強化し、既存の複合機では読み取りが難しい特殊な文書もデジタル化して活用できるようにする。例えば、経理業務や申請業務、窓口業務で発生する、「サイズが不揃いな伝票・帳票」や「ノンカーボン紙の申込書」、「免許証・ID などのカード」などを読み取れるようにする(図2)。
図2:PFUのスキャナにより、既存の複合機では読み取りが難しい文書もデジタル化して活用できるようにする(出典:リコー)拡大画像表示
(2)では、人材の拡充により、ユーザーのIT環境のサポート能力を強化する。特に、PFUが得意とするマルチクラウド環境の構築・運用やセキュリティサービスなどのITマネジメントサービス、IoT機器の運用サービスなどを、国内販売会社のリコージャパンが展開する全国のサポート&サービスと組み合わせることで、オフィスサービス事業の拡大を図る。
(3)では、PFUのコンピュータ製品事業と、リコーのエレクトロニクス事業を連携させる。これにより、生産、購買、開発面でのシナジーを創出する。コスト競争力を高めるとともに、現場のデジタル化を進める新たなエッジデバイスの開発を目指す。
| 名称 | 株式会社PFU | ||
|---|---|---|---|
| 所在地 | 石川県かほく市宇野気ヌ98番地の2 | ||
| 代表者の役職・氏名 | 代表取締役社長 長堀 泉 | ||
| 事業内容 | ドキュメントスキャナ、インダストリコンピューティング製品などのハードウェアおよび、セキュリティ・文書管理などのソフトウェアやサービス、ITインフラ構築や他企業と提携したマルチベンダーサービスなど | ||
| 資本金 | 15,000百万円 | ||
| 設立年月日 | 1962年5月17日 | ||
| 大株主および持株比率 | 富士通株式会社(3,854,496株/100.0%) | ||
| 上場会社とPFUとの間の関係 | 資本関係 | 該当事項なし | |
| 人的関係 | 該当事項なし | ||
| 取引関係 | リコーは当該会社(PFU)からドキュメントスキャナの仕入れなどを行っている | ||
| PFUの最近3年間の経営成績および財政状態(日本基準) | |||
| 決算期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
| 純資産 | 54,870百万円 | 58,739百万円 | 60,209百万円 |
| 総資産 | 88,382百万円 | 86,492百万円 | 89,754百万円 |
| 1株あたり純資産 | 14,235円38銭 | 15,239円25銭 | 15,620円47銭 |
| 売上高 | 113,764百万円 | 117,395百万円 | 114,938百万円 |
| 営業利益 | 4,042百万円 | 4,989百万円 | 1,207百万円 |
| 経常利益 | 4,854百万円 | 5,622百万円 | 1,990百万円 |
| 当期純利益 | 4,963百万円 | 4,767百万円 | 2,311百万円 |
| 1株当たり当期純利益 | 1,287円7 銭 | 1,236円98銭 | 599円65銭 |
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