デロイト トーマツ ミック経済研究所は2022年8月24日、ディープラーニング(深層学習)を活用した画像認識の製品・サービスについて市場規模とトレンドを分析した。主要ベンダー39社の63個の製品・サービス(市場カバー率73.1%)を調査した数値をベースに、その他ベンダーを含めた全体を推計している。調査によると、2021年度は前年比139.4%の260億円だった。2022~2026年度まで年平均33.4%増で成長を続け、2026年度には1100億円に達する見込みという。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、2021年度のAI(ディープラーニング)を活用した画像認識の製品・サービス全体の市場規模は、前年比139.4%の260億円だった。AIは「過度な期待」のピーク期を過ぎ、実際の業務課題解決に適用していこうとするフェーズに突入したと同社は見ている(図1、関連記事:2021年の国内AI画像認識市場は前年比162.8%、人手不足や効果検証が要因─デロイト トーマツ ミック研)。
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「ユーザーニーズが明確化したことで、業務課題に適合した業務アプリケーションが誕生したほか、PoCを経て実運用に移行する案件が増加している。また、ベンダー/ユーザー企業ともにニューノーマルな働き方に慣れてきたことや、前年度でも見られたPoCから本格稼働の進行、多拠点展開の拡大、前年度の期ズレ案件などが貢献し、大幅な伸び率となった」(同社)。
2022年度は、前年比136.5%の355億円となる見込みである。「製造業での外観検査を中心とした市場構成は変わらないものの、設備の保守・点検用途での画像分析が活発になっており、化学・発電プラントのサビ点検など分析難易度の高い用途で実用化が進んでいる」(同社)。
「また、人物判定では、画像に加えて映像分析も増加傾向で、従業員の安全管理やセキュリティ管理に加え、ドライブレコーダーの画像解析や運転者の状態監視など、モビリティ関連でも画像分析ニーズが徐々に高まっている」(同社)。
AI画像認識の製品・サービス市場は今後、2022~2026年度まで年平均33.4%増で成長を続け、2026年度には1100億円に達する。「AI画像認識は、人間の目視業務の代替手段となることから、現在日本が抱えている人手不足/働き方改革や高層ビル/社会インフラの老朽化の検査の解決策としての活用が進んでいる。このほか、費用対効果の実証とユーザーの期待感向上、新たな働き方/生活様式への順応、経験効果、AIエコシステムの構築などの要因が需要を後押しする」(同社)。