2023年で設立31年目のSAPジャパン。「日本企業の『業務をグローバル標準にしたい』『業務システムをシンプルにしたい』といった要望に応えるべくSAPの導入支援を進めてきた」(代表取締役社長の鈴木洋史氏)。ERPのグローバル標準を標榜するSAP製品群を、どんな戦略をもって日本の顧客に届けようとしているのか。2023年2月14日の2023年度ビジネス戦略説明会で語られた内容から確認していく。
ERPのクラウド移行がグローバルで進む
SAPのグローバルでの2022年度の業績は、注力しているクラウド事業の売り上げが前年比33%増加した。なかでもクラウドERPの「SAP S/4HANA Cloud」は前年比91%増と、グローバルでERPの現行バージョンおよびクラウドへの移行が好調に進んだ(図1)。また、日本市場においても、オンプレミスソフトウェアの売り上げが想定どおり減少し、クラウド事業はグローバルと同様、2022年を通じて好調を維持したという。
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SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏(写真1)は、現在、国内企業が直面する諸課題と、それらを踏まえた3つの戦略について説明した。
●ビジネスの俊敏性:市場環境や大きく変化する中で、付加価値の高い業務に社員が集中できるよう、俊敏でインテリジェントな業務環境が必要になる。
●サプライチェーンの堅牢性:地政学的リスクが高まる情勢下で、既存の取引先との関係強化や新たな取引先の獲得などが課題。ビジネスネットワークを通じて互いに利益を得られる関係構築が急務である。
●サステナビリティ:すべての組織で真にサステナビリティに配慮した経営が求められている。
鈴木氏は、「3つの戦略を遂行するために、当社は幅広いクラウドポートフォリオを提供して、企業の業務効率、生産性を向上させていく」とした。具体的には、S4/HANA Cloudとアプリケーション開発・実行プラットフォーム「SAP Business Technology Platform(BTP)」をコアのプラットフォームにして、周辺業務のクラウドソリューション群と連携させて提供するという(図2)。
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●Next:2023年は「S4/HANA Cloud, Public edition」に最注力
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