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日本IBM、メインフレーム「z16」に初のラックマウントモデル、x86からメインフレームへの移行を容易に

汎用19インチラックに収容可能

2023年4月4日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本IBMは2023年4月4日、製品説明会を開き、メインフレーム現行モデル「IBM z16」および「IBM LinuxONE 4」にラックマウントモデルとシングルフレームモデルを追加したと発表した。いずれも同年5月17日に出荷する。任意のラックに収容可能なラックマウント型のメインフレームを販売するのは今回が初めて。z16のマルチフレームやシングルフレームも19インチラック型形状だが自由に構成を組み合わせることはできない。今回追加したラックマウントモデルは、自由にラックの構成を組める。

 日本IBMの「IBM z16」および「IBM LinuxONE 4」は、メインフレームの現行モデルである。今回、メインフレームを設置しやすくする製品展開として、任意の19インチラックに収容可能なラックマウントモデルを用意した(写真1)。

 データセンターが用意したラックや、自社で用意したラックなどに収容し、同一ラック内に、他のIT機器と混在させる使い方が可能である。同社がラックマウント型のメインフレームを提供するのは、今回のz16が初めて。

写真1:メインフレーム「IBM z16」に追加したラックマウントモデルの外観(出典:日本IBM)
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ラック内の構成を自由に設計・組み替え可能に

 ラックマウントモデルの本体高さは5Uで、I/Oデバイスを拡張するためのエンクロージャ(高さ8U)が付く。これらを、ユーザーが所有する19インチラックなどに格納して利用する(図1)。ストレージやSANスイッチ、ネットワークスイッチなどと組み合わせて使う。既存のラックの空きスペースに格納して使うことも可能である。

図1:メインフレーム「IBM z16」に追加したラックマウントモデルの概要(出典:日本IBM)
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 同社は、従来モデルのz14において、標準的な19インチラック型の筐体を採用したモデル「IBM z14 Model ZR1」および「IBM LinuxONE Rockhopper II」を提供。前モデルのz15では、特定モデルではなく標準で19インチラック型の筐体を採用した。しかしこれらは、あくまでも筐体の形状が19インチラックというだけであり、一般的なラックのように使えるわけではなかった。例えば、他のIT機器をメインフレームと同じラックに収容する、といった使い方はできなかった。

 今回、z16のラインアップを拡充し、既存のマルチフレームモデル(19インチラック型の筐体を、最小1ラックから最大4ラック構成で利用)に加えて、新たなモデルとして、任意の19インチラックに収容して利用可能なラックマウントモデルを用意した。さらに、z16においても、これまでのモデルと同様に、1ラック構成に限定となるシングルフレームモデルを用意した(図2)。

図2:「IBM z16」のラインアップを拡充した。ラックマウントモデルと、シングルフレームモデルを追加した(出典:日本IBM)
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Linuxをx86からメインフレームに移行しやすくなった

 設置しやすさをx86サーバーと同等にしたことで、これまでx86サーバーで動かしていたワークロードをメインフレームで動かしやすくなった、としている。これにより、電力や設置面積あたりの性能が向上するという。例えば、Linuxのワークロードを、条件や設置場所が類似するx86サーバー(36台のx86サーバー(Skylake Xeon Gold、合計1440コア)の代わりにIBM LinuxONE Rockhopper 4(1フレーム、68プロセッサ)で動かすと、電力消費量が75%、設置面積が67%減るとしている。

 発表会では、x86サーバーをメインフレームに置き換えたユーザー事例も紹介した。欧州の金融機関の事例では、Oracle Databaseを16台のx86サーバーから1台のメインフレーム(LinuxONE)に移行した。これにより、プロセッサのコア数を15分の1に削減し、電力消費量が70%下がり、ソフトウェアのライセンスが60%下がった。

コミュニティ「メインフレームクラブ」で若手技術者を育成

 なお、日本IBMは、メインフレーム新モデルの発表に合わせて、人材育成を狙ったメインフレームのコミュニティ「メインフレームクラブ」を立ち上げると発表した。メインフレームの技術者同士をつなぎ、次世代の技術者を育成するとしている。若手技術者向けのハンズオンセミナーや、国内外の見学ツアーなどの企画を予定している。第1回のコミュニティ活動は、2023年4月21日に日本IBM本社(箱崎事業所)で開催する。

●Next:現行モデル「z16」と「LinuxONE Emperor 4」の特徴

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