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AWSジャパン、金融システムのリファレンス資料を改訂、DR構成のサンプル実装を追加
2023年7月28日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2023年7月27日、「金融リファレンスアーキテクチャ日本版 v1.1」の公開を開始した。金融機関に求められるセキュリティや可用性に関わる共通機能をフレームワークやテンプレートとして収録した技術資料である。初版は2022年10月にGitHubに公開し、今回、2023年7月5日付けでv1.1に改訂した。v1.1では、DR(災害復旧)構成のサンプルアプリケーションなどを追加したほか、新たなワークロードとしてデータ分析基盤を追加した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の「金融リファレンスアーキテクチャ 日本版」は、金融機関に求められるセキュリティや可用性に関わる共通機能をフレームワークやテンプレートとして収録した技術資料である。GitHubからダウンロードして入手できる(図1、関連記事:AWSジャパン、金融システムのリファレンスアーキテクチャ資料をGitHubで公開)。
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同資料では、AWSを活用したベストプラクティスのサンプル実装を提供する。金融機関のユーザーは、サンプルを自由にカスタマイズして活用可能である。これらを活用することによって、FISC(金融情報システムセンター)に準拠したセキュリティや可用性を実装する際の負担を軽減する。
同資料はもともと、2022年6月にプレビュー版を提供し、同年10月3日に正式版をGitHubで一般公開している。プレビュー版は新生銀行とシンプレクスなど36社の金融機関とパートナー企業が評価した。今回、2023年7月5日付けでv1.1に改訂した。
勘定系システム向けDR構成のサンプル実装を追加
v1.1で、DR(災害復旧)構成のサンプルアプリケーションを追加した。入出金の疑似トランザクションを連続的に発生させながら疑似のシステム障害を投入し、そのうえでリージョン間フェイルオーバーを行うなど、障害や復旧手順のシミュレーションに利用可能である。
前提として、金融システム向けサンプルワークロードの1つ「勘定系システム」は、汎用的なトランザクション処理に向けた、マルチAZ/マルチリージョンアーキテクチャを採っている。今回、このアーキテクチャの理解を助けるため、実際に動作するデモ用のサンプルアプリケーションを追加し、加えてリージョン間フェイルオーバーを実現する機能をワークロードに追加した。
デモアプリケーションは、表1に示した4つのマイクロサービス(Amazon ECSコンテナ)で構成する。
サービス名 | 機能 |
---|---|
transaction | トランザクション全体を制御するマイクロサービス |
balance | 口座データに対して引き落とし/預入れ処理を行うマイクロサービス |
count | 口座からの引き落とし処理の回数を管理するマイクロサービス |
worker | 仕掛かり中でペンディング状態となっているトランザクションを処理する常駐サービス |
Sagaパターンによる補償トランザクションの仕組みを実装することで、分散環境でのトランザクションの整合性を保持するように実装した。基本的には同一のアプリケーションを東京リージョンと大阪リージョンにデプロイするが、競合状態になるのを避けるため、トランザクションワーカーは東京リージョンだけで稼働する(図2)。
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