米キンドリル(kyndryl)は2023年9月12日(米国現地時間)、メインフレームにおけるモダナイゼーションの現状と展望に関するグローバル調査の結果を発表した。ビジネス/ITリーダー500人を対象に実施した。ほとんどの組織がメインフレームのモダナイゼーションにハイブリッドアプローチを採用していること、回答者の総計で125億ドルのコスト削減を図っていることなどが判明した。
米キンドリル(kyndryl)は、メインフレームにおけるモダナイゼーションの現状と展望に関するグローバル調査レポート「キンドリル メインフレームモダナイゼーション 状況調査レポート」を発表した。ビジネスおよびITリーダー500人を対象に実施した。
「ビジネス環境が急激に変化している中、多くのビジネスリーダーが投資先を見直している。効率化、アジリティ、イノベーションを後押しするため、メインフレームのモダナイゼーションを開始または加速させる方法を模索している」(同社)。
調査では、回答者の95%がメインフレームアプリケーションをクラウドまたは分散型のシステム基盤に移行しており、移行したワークロードの割合は平均37%となった。すべてのワークロードをメインフレームから完全移行すると答えた企業はわずか1%だった。
そして、回答者の90%が「メインフレームは自社のビジネスにとって不可欠である」と回答。理由として、高いセキュリティ、信頼性、パフォーマンスを持ちつつ、クラウド移行によって効率化を図れる柔軟性もあることを挙げている。
キンドリルによると、ミッションクリティカルな業務の刷新を検討している企業は、メインフレームモダナイゼーション、ハイパースケーラー統合、クラウド移行の3つのアプローチでモダナイゼーションに取り組んでいるという。「ほぼすべての回答者が各システム基盤の機能を考慮し、ビジネスニーズと技術ニーズに合わせてプロジェクトを調整するなど、複数のアプローチを組み合わせている」という。
注目点として同社は、採用したメインフレームモダナイゼーションのアプローチに関わらず、コスト削減や利益の増加(9~11%)が報告されていることを挙げる。企業の年間平均コスト削減額は2500万ドルで、メインフレームモダナイゼーションへの投資がプラスに働いていることを示している。
今回の調査から、どのように変革を進めるかにかかわらず、回答者は共通してセキュリティを懸念していることが分かった。49%の回答者が、組織の変革戦略を策定する上で最も重要な要素としてセキュリティを挙げている。「セキュリティはメインフレームモダナイゼーションの成功に不可欠な要素の1つである」(同社)。
また、回答企業の半数以上が、主な課題としてメインフレーム技術者の減少を挙げていた。これについてキンドリルは、「メインフレームの運用スキルを持つ人材の雇用機会が多くあることを示唆している。実際、回答者の74%はスキルの課題に対処するために変革のサポートを外部パートナーに依頼している」と説明している。
「メインフレームがハイブリッドクラウド環境に不可欠な要素になっており、多くの企業でビジネス価値を継続的に高めていることが明らかになった。一方で、メインフレーム環境を維持できる人材が不足している」(同社)