米オラクルは2024年5月2日(米国現地時間)、データベース管理システムの新版「Oracle Database 23ai」を発表し、クラウドサービス版を提供開始した。2023年9月リリースの長期サポート版「Oracle Database 23c」に機能強化を施している。ベクトルデータベース検索機能「Oracle AI Vector Search」の実装など、23aiという名称には、生成AIを含むAI技術・機能に注力したことを強調する狙いがあるという。
ベクトルDB検索「AI Vector Search」を実装
米オラクルの「Oracle Database 23ai」は、2023年9月リリースの長期サポート版「Oracle Database 23c」に機能強化を施したデータベース管理システムの新バージョンである。23aiという名称には、生成AIを含むAI技術・機能に注力したことを強調する狙いがあるという(関連記事:Oracle Database 23cの無料版を開発者向けに公開、1つのデータにSQLとJSONの両方でアクセス)。
発表と共に先行リリースした23aiのクラウドサービス版は、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上の「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Exadata Cloud@Customer」 「Oracle Base Database Service」と、Microsoft Azure上の「Oracle Database@Azure」で動作する。
Oracle Database 23aiに備わるAI技術・機能の1つが、ベクトルデータベースを用いた「Oracle AI Vector Search」である。特定の単語やデータ値ではなく、概念的な内容に基づいて文書、画像、リレーショナルデータを検索する。業務データを格納した既存のテーブルにベクトルデータのカラムを追加して利用できる(図1、関連記事:オラクルがOracle Databaseの生成AI機能を説明、自然言語からSQL生成、ベクトルDBの検索例も)。
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ベクトルデータベースの提供に伴い、データベース間でデータを複製・移行するツールを「GoldenGate 23ai」に刷新。異なるベクトルストア間でリアルタイムでベクトルデータを複製する機能が加わった。合わせて、AI Vector Searchを高速化するため、ストレージソフトウェアの新版「Oracle Exadata System Software 24ai」を提供する。
SQLとJSONでアクセス、グラフDBと統合
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AI技術・機能に加えて、Oracle Database 23aiでは、アプリケーション開発機能の強化が図られている。23cと同様に、1つのデータにSQLとJSONの両方でアクセス可能な「JSON Relational Duality」を備えている。JSONカラムを含む全データにSQLでアクセスできるほか、テーブルを含む全データにJSONドキュメントとしてアクセス可能である(図2)。
また、グラフデータベースとリレーショナルデータベースを統合した「Operational Property Graph with SQL」を提供し、SQL/PGQ(Property Graph Queries)からのグラフデータベースへの問い合わせに対応した。複数の金融取引のようなデータ間接続、パターン、関係を分析するアプリケーションを容易に構築できるとしている(図3)。
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新たに、開発者向けのデータベース「Always Free Autonomous Database」を提供する。「Autonomous Database Serverless」のインスタンスを2つまで無料かつ無期限で利用できる。これらのインスタンスには、「Oracle APEX」「Select AI」「Database Tools」「Machine Learning」「Graph」などのツールが統合されている。開発者は、AI Vector Search、JSON Relational Duality、Operational Property Graph with SQLなどの機能をダウンロードして試用できる。
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