[事例ニュース]
茨城県笠間市、脱Excelでローコード開発ツールを導入、庁内業務効率化へ
2024年9月6日(金)IT Leaders編集部
茨城県笠間市は、脱Excelでローコード開発ツールを導入、庁内業務効率化に取り組んでいる。システム基盤として、米Claris Internationalのローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入した。高齢福祉課の要介護認定業務を対象に業務システムのプロトタイプを開発して試験運用を実施。業務効率化やオンプレミスで稼働可能なことなどを評価し、正式に導入した。米Claris Internationalが2024年9月4日に発表した。
茨城県笠間市は現在、デジタル人材の育成をはじめとして、市民サービスの向上などにつながる庁内業務のデジタル化に取り組んでいる。計画の中で、効率的な行政運営のための先端技術の利用促進として、ノーコード/ローコード開発ツールの活用推進を掲げている。
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2023年度から、米Claris Internationalのローコード開発ツール「Claris FileMaker」(画面1)を用いた業務システム開発の実証検証を行ってきた。高齢福祉課の要介護認定業務を対象に、業務システムのプロトタイプを開発して試験運用を実施した(図1)。
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同市ではこれまで、要介護認定の申請管理業務を複数のExcelファイルで行っていた。データ件数が年間数千件と多く、情報が分散していたこと、同じデータを複数回入力する必要があるなど作業負荷が高いことから、必要な情報の検索・参照に時間がかかっていた。多数のExcelファイルを共有する中で、ファイル破損などもしばしば発生していたという。
FileMakerを用いたローコード開発で構築した新しいシステムで、介護認定までの進捗管理を複数の担当職員が共有し、常に最新状況を確認できるよう情報を一元管理を図っている。
また、介護保険システムからの申請情報のインポートや医療機関への手数料支払いの消し込み作業などを自動化。入力作業の軽減や誤入力の防止につながっているという。
同システムにより、笠間市は年間250時間以上の業務時間削減を見込む。「デジタル人材として内製開発に取り組む職員によって現場ユーザーの要望をシステムに反映し、継続的に使いやすいシステムに拡張する体制が整った」(同市)。
笠間市は今後、FileMakerによるローコード開発の仕組みを他部署にも展開し、デジタル化する業務対象を広げていく計画である。