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映像製作のカラー、アーカイブデータをクラウドに移行、ストレージ費用は同等で運用コストを8割減

2024年9月12日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

映像企画製作会社のカラー(本社:東京都杉並区)は、500TBのアーカイブデータをオンプレミスのNASからクラウドストレージに移行した。クラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を採用し、移行後はオンプレミスのNASをフロントキャッシュにして、データ本体をクラウドストレージに保存する形態をとっている。ストレージ費用を維持しながら運用管理コスト80%減を見込む。Wasabi Technologies Japanが2024年9月12日に発表した。

 カラーは、アニメ監督/アニメーターの庵野秀明(あんの ひであき)氏が代表取締役社長を務め、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなど、多数の作品の企画・製作に携わる映像企画製作会社である(画面1)。

画面1:カラーのコーポレートサイト
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 カラーによると、2006年の設立以来、ヱヴァンゲリヲンシリーズをはじめとする複数の作品の静止画、動画、連番出力ファイル(静止画に連番名がついたもの)などの中間制作物をストレージにアーカイブしている。容量は500TBに上っていたという。これらのファイルは資産であり消去することはないため、新しい作品を制作するにつれデータ量が増えていく。

 こうした膨大なファイルの保管を、これまでオンプレミスのNAS「QNAP」でアーカイブしていた。NASは60台以上のHDDで容量を確保し、RAID5で冗長構成をとっていたが、複数のHDDに続けて不具合が起こることもあったという。

 「故障したHDDを交換する運用を確立していたが、立て続けに故障すると不安で夜もよく眠れなかった。また、1台のHDDに収めるデータ量が大きく、交換時はデータのリビルドに1~2週間もかかっていた。リビルド中はNASの性能が落ちるため、社内ユーザーの業務効率にも影響を及ぼしていた」(カラー)

図1:アーカイブシステムの変遷。データ本体をオンプレミスのNASからクラウドストレージに移行した(出典:Wasabi Technologies Japan)
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 メーカー保守満了に伴うハードウェア更改の際も、データ量の大きさから移行を完了する6カ月を要したという。こうした中で、更改時期の2023年に、作業の繰り返しからの脱却を模索し、Wasabi Technologies JapanのAmazon S3互換クラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を導入。500TBのアーカイブデータをオンプレミスのNASからWasabi Hot Cloud Storageに移行した(図1関連記事S3互換ストレージのWasabiが日本法人設立、1TB月額6.99ドルで「S3より80%安い」とアピール)。

 同社は移行の効果について、「ストレージコストは、既存のオンプレミスNASとほぼ変わらずに、運用管理コストは80%ほど減る見込み。HDD障害対応やハードウェア更改対応から解放され、本来のシステム管理業務に専念できるメリットは大きい」(同社)としている。

 カラーによると、当初は他社のクラウドストレージを検討していたが、ストレージ料金に加えて、データの下り転送料が発生することを懸念。それが発生しないWasabiの選定に至ったという。「必要に応じてファイルをダウンロードするので、月にどれだけ下り転送料が発生するか予測できない。これに対してWasabiは、下り転送料が発生せずに容量だけを考えれば済む」(同社)。

 移行後は、オンプレミスのQNAPをフロントキャッシュ(60TB)にして、データ本体をクラウドストレージに保存する形態をとった。QNAPは使い慣れていたので、使い勝手を変えずに移行できたという。仮にキャッシュ用のNASが壊れても別の筐体と交換するだけで済み、データの損失を免れることができる。

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映像 / エンターテインメント / クラウドストレージ / Amazon S3 / Wasabi Technologies / NAS / クラウド移行 / QNAP Systems

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