[新製品・サービス]
製造プロセス全体に関わるエンジニアを支援する「SOLIDWORKS Ultimate」─ダッソー・システムズ
2024年11月12日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
仏ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)の日本法人は2024年10月30日、記者説明会を開き、3D CADソフトウェア「SOLIDWORKS」の新パッケージ「SOLIDWORKS Ultimate」を発表、その特徴を、新版「SOLIDWORKS 2025」における機能強化点と合わせて説明した。パッケージは、従来のSOLIDWORKSが対象とした設計領域に加えて、その前後にあるプロジェクト管理やマーケティング、製造といった領域をカバーする。
「SOLIDWORKS」は仏ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)が提供している3D CADソフトウェア。1995年に米ソリッドワークス(Solid Works)が最初のバージョンをリリースして以来、年次アップデートを続けており、今回発表された「SOLIDWORKS 2025」で30周年を迎える(図1)。なお、同社は2024年7月に仏ダッソー・システムズと経営統合している。
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近年は、クラウドプラットフォームを介した情報の共有・一元化や、設計・開発プロセスにおける関係者間のコラボレーション支援に注力している。2020年には、仏ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE」プラットフォームと連携したSaaS版の「3DEXPERIENCE WORKS」をリリース。2023年には、デスクトップ版のSOLIDWORKSをプラットフォームに接続する「Cloud Services」が実装された。
現在の製品ラインアップは、デスクトップ/SaaS版ともに、「Premium」「Professional」「Standard」という機能別の3エディションで構成する(関連記事:「クラウド3D CADだからこそ得られる価値と体験がある」─ソリッドワークスCEO)。
設計から製造へ、異なる領域を横断する「パワーユーザー」を支援
今回発表された新パッケージ「SOLIDWORKS Ultimate」は、デスクトップ/SaaS版のPremiumエディションに、3DEXPERIENCEのロール(機能別のソフトウェア)を新たに20個追加したもの(図2)。従来のSOLIDWORKSは製品における設計の領域を中心としていたが、SOLIDWORKS Ultimateは関係者との検討・協業、製品データの管理、マーケティングなど、製造業における幅広い領域に対応する機能を標準で備えている。
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具体的には、これまでのSOLIDWORKSが担った製品詳細設計に加えて、その前後にあるプロジェクト生成やタスク管理、製品構造検討、E-BOM(設計部品表)の作成といった業務を、プラットフォーム上でデータを共有・一元化しながら進められるという(図3)。
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ダッソー・システムズは新パッケージのターゲットとなる人材像を「パワーユーザー」と表現。設計領域を起点としながら、製造プロセスの多様な業務領域に横断的に関与する人材を指すという。説明にあたった同社 SOLIDWORKS / 3DEXPERIENCE Works営業技術部 部長の赤代政宏氏(写真1)は、「現在の設計者やエンジニアは、自分の専門領域にとどまらず、関連するさまざまな部署と連携しながら、幅広い領域をカバーすることを求められている」と語った。
上述のとおり、SOLIDWORKSは従前、設計・開発プラットフォームの3DEXPERIENCEとの接続によtte情報の一元化や共有を支援し、部門ごとの情報のサイロ化を解消する方針を明確にしていた。
一方で、同社 SOLIDWORKS / 3DEXPERIENCE Works営業技術部 プロダクトマーケティングスペシャリストの遠藤尚人氏(写真2)は、「近年、製品の高機能化や複雑化が一因となり、情報を共有するだけではプロセスが円滑に回らないケースが増えている」と指摘。サイロ化の打破をより進めるためにも、異なる領域を繋ぐ役割の人材に着目していると語った。
●Next:最新バージョン「SOLIDWORKS2025」における機能強化
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