IDC Japanは2024年11月28日、国内におけるソフトウェア市場の実績と予測を発表した。2024年上半期(1月~6月)の市場規模は前年比10.8%増の2兆5498億4400万円と推定している。業務効率化の要求、アプリケーションへのAIの組み込みやAIプラットフォームとの連携、サイバーセキュリティ対策の増加などがソフトウェア投資を押し上げ、好調に推移したという。
IDCは、ソフトウェア(パブリッククラウドサービスを含む)市場を、3大分類市場(アプリケーション市場、アプリケーション開発/デプロイメント市場、システムインフラストラクチャソフトウェア市場)、20の中分類市場、79の機能市場に分類し、ベンダー売上額を算出/予測している。
同社によると、ソフトウェア市場のグローバル売上額は2024年上半期(1月~6月)に前年比13.1%増の5224億米ドル。うち国内ソフトウェア市場は、前年比10.8%増の2兆5498億4400万円と推定している(図1)。
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2024年上半期の国内ソフトウェア市場については、ソフトウェアツールを活用した業務効率化の要求、アプリケーションへのAIの組み込みやAIプラットフォームとの連携、サイバーセキュリティ対策の増加などが国内企業のソフトウェア投資を押し上げ、好調に推移したとしている。
特に、AIを活用した顧客体験(CX)向上のためのアプリケーション/AIプラットフォーム、AIを活用したビジネス分析、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのソフトウェア投資が2024年上半期に伸長し、ソフトウェア市場全体を牽引したという。
また、パブリッククラウドサービスの売上は、2024年上半期は前年同期比20.0%増の1兆792億円9100万円と高成長を維持し、初めて半期で1兆円を超える規模となり、全ソフトウェア市場の42.3%を占めるに至っている。
IDCは、2024年上半期のソフトウェア大分類市場のトレンドが以下のように推移したと見ている。
- アプリケーション開発/デプロイメント市場:前年比15.1%増、6690億7400万円だった。AIプラットフォーム市場は、生成AIによる市場押し上げ効果があり、高成長を継続(前年比68.3%増)した。アナリティクス/BI市場(同18.8増)、データベース/データレイクなどを含むデータ管理市場(同6.3%増)など、AI向けデータやAIを活用したデータ分析などが成長を牽引した。
- アプリケーション市場:前年比10.7%増、1兆929億3100万円だった。デジタルCX向上に向けたCRM市場(同15.1%増)、コンテンツワークフロー管理市場(同13.7%増)、業務アプリケーションの更改需要によるERM市場(同8.6%増)が成長を牽引した。アプリケーション市場においても、AIの組み込みやAIプラットフォーム連携による業務の効率化/高度化が促進要因となった。
- システムインフラストラクチャソフトウェア市場:前年比7.5%増、7878億3900万円だった。特に、サイバーセキュリティ対策/デジタルトラスト向上に向けたセキュリティソフトウェア市場(同11.2%)が高成長となった。AIによる攻撃の検知/対策や復旧および継続的なセキュリティ運用、セキュリティインテリジェンスなどが市場を牽引した。
IDCは、2024年下半期以降も、企業での生成AIを含むアプリケーションへのAIの組み込み/AIプラットフォーム連携やデジタルCXの高度化、企業ITシステムのモダナイゼーション、サイバーセキュリティ対策に向けたソフトウェア投資が継続すると予測する。
国内ソフトウェア市場における2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR)は10.7%で、2028年に7兆9104億円に達する見込みという。大分類市場の2023年~2028年のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場が17.6%、アプリケーション市場が7.8%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場が8.1%と算出している。
今回の発表は、2024年11月発行の「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker」に基づく。同レポートは、日本を含むグローバル9地域におけるソフトウェア/パブリッククラウドサービス市場の2024年上半期までのベンダー売上額実績と、2024年~2028年の市場予測を収録している。