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三菱ケミカル、プラントの設備故障を診断するAIを検証、技術者と同等以上の精度を目指す

2025年12月25日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三菱ケミカル(本社:東京都千代田区)は、化成品、樹脂・機能商品、炭素素材などを生産する東海事業所(三重県四日市市)において、プラントの設備故障を診断するAIエージェントの検証を2025年12月に開始した。熟練の設備管理技術者と同等以上の速さと正確さで故障の原因を特定し、的確な対策を提示できるかを検証する。検証を共同で実施する日立製作所が2025年12月24日に発表した。

 三菱ケミカルは2025年12月、化成品、樹脂・機能商品、炭素素材などを生産する東海事業所において、プラントの設備故障を診断するAIエージェントの検証を日立製作所と共同で開始した。

 両社が検証するAIエージェントは、生産設備の点検において、設備管理技術者が流体の移動や制御などに関わる主要設備である動力設備・制御装置などの故障を発見した際、原因と対策を提示する(図1)。

図1:三菱ケミカルと日立製作所が目指す、プラントの設備故障を診断するAIエージェントの全体像(出典:日立製作所)
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 三菱ケミカルの設備管理技術者は、以下の情報・数値を相互に関連づけて読み取り、統合的に分析している。検証では、この思考プロセス(ドメインナレッジ)を考慮しながら、熟練の設備管理技術者と同等以上の速さ・正確さで解決策を提示できるを検証する。

  • 設備に関する各種資料(基準書、配管・機器図面、EFD:Engineering Flow Diagram)
  • 過去の分解点検・開放検査履歴や検討資料、技術報告書などの社内に蓄積した情報
  • 異常の兆候や運転状態の変化を把握するプロセスデータや運転履歴、設備状態データ
  • ネットワークカメラや定点撮影装置などから取得する画像、動画、音声などの設備や現場状態を示すデータ

 AIエージェントの仕組みとして、三菱ケミカルが蓄積した各種生産設備のP&IDや設備図面などを、ナレッジグラフとして生成AIが読み取る形式に変換する。このナレッジグラフと、保全記録などのOTデータ、日立の設備故障原因分析プロセス「OTスキル」を生成AIに学習させる。これにより、三菱ケミカルの一般的な設備管理技術者と同等以上の故障診断の実現を目指す。

 将来的には三菱ケミカルの国内外の生産拠点へと展開する。また、運転や安全管理など、プラント運営に不可欠な業務を最適化する特化型のAIエージェントを構築する。さらに、複数のAIエージェント群を連携させる技術を開発し、統合的な判断を支援する。

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