[市場動向]

ネットスイート、中堅企業向け拡販にらみ富士通/FJBと提携

2009年8月6日(木)IT Leaders編集部

ネットスイートは2009年8月5日、同社がSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形式で提供する統合業務システム(ERP)「NetSuite-Release J」の販売・サポートで富士通および富士通ビジネスシステム(FJB)と提携した。ネットスイートは前日の4日、SAPジャパンでマーケティング担当バイスプレジデントなどの要職を務めていた田村元氏が新たに社長に就任したことを発表。新社長の体制下で中堅企業向けの拡販を加速する。

 国内における業務/業種ノウハウの獲得や販路拡大を図りたいネットスイート。一方で、中堅企業向けビジネスのてこ入れやSaaS事業への本格参入を急ぎたい富士通。それぞれの思惑の合致が提携の背景にある。ネットスイートは、富士通/FJBの販売スタッフ向けに技術指導などを実施。さらに今後は、国内企業向けのテンプレート作成や共同マーケティングを3社で推進する。

 富士通は中小企業向けERPの拡販をにらみ、09年10月にFJBの完全子会社化を発表。これに合わせて富士通の中堅向け主力ERPパッケージ「GLOVIA smart」の販売・製品開発企画機能をFJBに移管した。今回の提携により中堅企業向けERPの分野では、FJBを中核にパッケージ/SaaS双方で顧客のニーズに応じる体制が整う。

 ネットスイートはNetSuite-Release Jの販売目標として、「3年間で600ユーザー、そのうち今回の提携で500ユーザーの獲得を目指す」(田村氏)考えだ。

 NetSuite-Release Jは、財務会計や顧客関係管理(CRM)などERPとして必要な機能をSaaS形式で提供するものとして、08年12月に国内投入した。ワールドワイドで展開しているNetSuiteに、請求締め日の設定や日本の会計基準に準拠した財務諸表など国内企業向けの機能を追加している。

 ネットスイートは、富士通とFJBの営業担当者向けに技術指導を実施する。富士通とFJBは、NetSuite-Release Jを中堅・中小企業に向けて販売。導入時のコンサルティングやインテグレーション、導入後のサポートも提供する。このほか、ユーザーニーズを集約して米ネットスイートにフィードバックし、日本向けの機能を拡充させる計画もある。

 2006年4月に日本に進出したものの、同じSaaSベンダーであるセールスフォース・ドットコムに大きく水をあけられた感があるネットスイートにとって、営業力強化は急務だ。富士通は、中堅企業向けビジネスのてこ入れやSaaS事業への本格参入を図りたい。こうした両者の思惑が合致し、今回の提携に至った。

 一方、FJBは2009年10月に富士通の完全子会社となり、中堅向けERPパッケージ「GLOVIA smart」の販売・製品開発機能を担うことが決まっている。同社はネットスイートとの提携により、中堅企業のニーズにパッケージとSaaSの両面で応じる体制を整えられる。

 ネットスイート社長の田村元氏は、NetSuite-Release Jの販売目標として「今後3年間で、600社に導入することを目指す。このうち富士通、FJBとの共同営業による新規顧客は500社を見込む」と明言。富士通グループの営業力を生かして巻き返す構えを見せた。

 気になるのは、富士通は2009年5月にセールスフォース・ドットコムと販売契約を締結済みであること。今後、同社が2つの米系SaaSをどのように売り分けていくかを注視したい。

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