[ザ・レビュー]
個別開発とパッケージの“良いとこ取り”を目指した「MCFrame」、カスタマイズ容易な製造業向け業務ソフト
2010年2月5日(金)鳥越 武史(IT Leaders編集部)
生産管理を自社の強みとする製造業は多い。その独自性をシステムに反映するには手組みか、パッケージ製品であっても大幅なカスタマイズが必須だ。そこでパッケージの良さを残しつつ、カスタマイズ性に富んだ製品として登場したのが、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「MCFrame」だ。
コスト抑制やベストプラクティス導入などの観点から、業務パッケージの活用が広がりつつある。すでに会計や人事などの分野では導入が進んでいるが、製造業においては、その核である生産管理でパッケージを“素のまま”利用するケースは必ずしも多くない。
短納期の順守や品質の維持など「メイドインジャパン」の卓越したノウハウやきめ細かさは、企業それぞれの独自色が強く汎用化しにくい側面がある。そこで東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は、パッケージの良さを残しつつ、カスタマイズを前提としたパッケージを開発した。それが、生産管理を中心とした業務パッケージ「MCFrame」だ。
同社は、主に製造業の生産管理部門向けのシステム構築を主力事業としてきた。1993年4月には、世界展開を進めるユーザーからの要望を受け、独SAPの「SAP/R3」の販売を開始した。SAP日本法人の設立前のことだ。
当時からパッケージへの関心は高まりつつあったが、「生産管理そのものを強みとする企業も多く、個別開発のニーズが根強かった」(プロダクト事業本部技術部部長の荒川 尚也氏)。そこで同社は個別開発でもパッケージでもない別のアプローチが必要と判断。個別開発案件を見渡す中で、似通った機能を徹底的に共通化する「屋台骨」という開発方法論を確立した。
方法論のみだった屋台骨は、96年4月に具体的な製品として実を結んだ。キユーピーでのシステム開発の成果物をパッケージに仕上げ、それに「MC Frame」の名称を付けたのだ。その後、Javaベースの「XAシリーズ」や業種別製品などを順次リリース。さらに導入の敷居を下げるためにSaaSでの提供を決断し、2009年1月に「MCFrame online 原価管理」を投入した(表)。
標準機能を厳選、カスタマイズを容易に
MCFrameの特徴は、その「フレームワーク構造」にある(図1)。業種共通の標準機能群を「基本パッケージレイヤー」、業種別機能や他システムとのインタフェースを「ソリューションフレームワークレイヤー」、企業ごとに異なる機能を「カスタマイズレイヤー」として実装。パッケージと個別開発の“良いとこ取り”を目指したハイブリッド構造を採る。標準機能は「国内製造業の業務プロセスに関するノウハウを凝縮した」(プロダクト事業本部パートナーアライアンス部マネージャーの常盤木龍治氏)。
カスタマイズといっても「手組み」とは一線を画し、専用開発環境「Frame Manager」を使って徹底的に効率化している。例えば部品表と在庫一覧を組み合わせた新しい画面を、必要なテーブルを指定するだけで作成できる。
中堅企業を主要対象とするが、現在オリンパスやリコーなどの大手も含め227社以上が利用している。 (鳥越武史)
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