[技術解説]
仮想化環境の性能重視、メモリー容量確保に各社独自の工夫─最新プロセサ搭載サーバー一覧
2010年6月22日(火)IT Leaders編集部
Xeon 5600/7500番台、Itanium 9300番台を搭載したサーバーが、各社から続々と登場している。プロセサ本体や周辺技術の基本仕様を補完する独自技術をつぎ込み、実用度を高める工夫を凝らす。各社の最新サーバーの動向をチェックする。
仮想化環境におけるパフォーマンスは、サーバーのメモリー搭載容量に大きく依存する。Xeon 5600番台は1プロセサあたり144GB、7600番台に至っては256GBものメモリーを接続できるが、それでも多数の仮想化環境を立ち上げた場合、メモリーが不足し、プロセサがアイドルしている状態になっているからだ。そこで、独自技術によりメモリーの搭載容量を増やす仕組みを取り入れるベンダーが相次いでいる。
日本IBMは、MAX5と呼ぶ専用のメモリー拡張ユニットを用意。独自開発のEXA5チップセットを搭載し、1台のMAX5につき32基のメモリースロット、512GBまでのメモリーを搭載できるようにする。
デルの「PowerEdge R810」、「同M910」は独自の「FlexMemory Bridge」機能が目新しい。4ソケット(マザーボード上に4つのプロセサを搭載可能)仕様のサーバーにおいてプロセサを2個しか搭載しない場合、残る2つの空きソケットにつながるメモリースロットは基本的に使えない。FlexMemory Bridgeでは空きソケットに専用回路をはめ込み、この回路がXeon 7500番台内蔵のメモリーコントローラと未使用のメモリースロットをつなぐ役目を果たす。これにより2プロセサ構成でも、空きソケットの分まで含め最大で32基のメモリースロットを利用できる。
そのほか、シスコシステムズのXeon 5600番台搭載サーバー「UCS B250 M2」、「同C250 M2」は、4基のメモリースロットを1基に見せる独自技術により、48基のメモリースロットに最大384GBのメモリーを搭載できる。
SMP接続機能によるスケールアップを可能に
2台のサーバー(ブレード)をSMP(対象型マルチプロセシング)接続し、スケールアップを可能にする製品も登場している。
Xeon 7500番台を採用した日立製作所のブレードサーバー「『BS2000』Eタイプ」がその1つだ。サーバーシステム「BladeSymphony BS2000」を構成する同製品は、2台を接続して最大4プロセサ構成(32コア)、メモリー最大512GBのサーバーとして運用できる。当初は2プロセサ構成で投資を抑えておきながら後に拡張できる。
日本IBMの「System x3690 X5」もSMP接続機能を備える。4プロセサ構成の「System x3850 X5」なら8プロセサ構成のサーバーを構築し、MAX5と組み合わせて最大3TBのメモリーを搭載できる(図5-1)。同社の管理ツール「IBM Systems Director」を使い、スケジュール設定でシステム構成を時間ごとに切り替えることも可能だ。
Xeonと一線を画す信頼性。Itanium 9300番台搭載機
Itanium 9300番台を搭載する日本HPの大規模向け「HP Integrity Superdome 2」は、x86系サーバーのさらに上をいく信頼性を前面に打ち出す。例えばコアのエラー発生回数をカウントし、一定のしきい値を超えた場合にコアを切り離し、システム停止を未然に回避する。L2キャッシュにおいても同様で、エラーを起こしたキャッシュを無効化した上で、継続的にデータの完全性とアプリケーションの信頼性を向上させる。