ユーザー企業の保有するサーバーを運用するための通信や電源、設置スペースを貸し出すコロケーション(ハウジング)事業や、ネットワークの相互接続事業を展開する米エクイニクス。同社は今、インターネットやイーサネットの相互接続サービスの拡充を急いでいる。日本法人であるエクイニクス・ジャパンの古田 敬代表取締役に話を聞いた。
同社の主要事業の1つは、インターネット網の相互接続サービスである「Equinix Internet Exchange(EIX)」。同社が世界18カ国35都市に87カ所保有するコロケーション用データセンター「International Business Exchange(IBX)」のユーザー企業がEIXを利用すると、IBXに設置したサーバーから、世界約350社、日本国内では20社以上のインターネット接続事業者(ISP)が提供する接続サービスを自由に選択できる(接続ポイントをIBX内に置くISP事業社であることが条件)。
2010年6月には、新たにインドの大手ISPである印リライアンス・グローバルコムが、エクイニクス・ジャパンが運営する東京データセンターに接続ポイントを設置すると発表した。IBXに接続ポイントを置くISPは、同じくIBXに接続ポイントを置く他のISP事業者のISP網との相互接続が可能になる。
複数のISP網を相互接続するサービスを提供する事業者には、インターネットエクスチェンジ事業者(IX)がある。実はIXの国内最大手であるJPIXやJPNAPといった事業者も、接続ポイントをIBX内に置いている。「今までISPは、複数のIXとの接続環境を自前で整備しなければならなかった。当社に接続ポイントを設置すれば、そうした手間とコストが大幅に削減できる」(古田氏)。
2010年8月から世界各国でトライアルを実施中なのが、Ethernet回線の相互接続サービス「Equinix Carrier Ethernet Exchange(ECEE)」。現在米国と英国で試行中で、国内でも2010年秋にもトライアルを開始する。
ECEEは、複数のイーサネット事業者網をハブで接続するサービス。現状のイーサネット接続事業者同士の相互接続は、事業者同士に専用回線を用意する直接接続が中心。この場合、接続する事業者ごとに物理ネットワークの工事が必要となり、工事期間やコストが大きくなる。さらに接続する事業者数が増えればネットワーク構成が複雑になり維持管理の負担が高まるという課題があった。「ECEEを使えば、そうした作業を当社に委託できるので、大幅な提供コストの削減につながる」(古田氏)。