保険業界向けクラウドサービス事業を拡大しているニッセイ情報テクノロジー(NISSAY IT)は2010年9月27日、自社内に社員および協力会社社員1万名が利用する大規模なデスクトップクラウド環境を構築し、同年10月1日より利用を開始する発表した。1万ユーザー規模でのアプリケーションストリーミング機能の実装は国内初となる。同社は、今後もクラウド環境を拡張し、Webベース保険システムパッケージ「i-Winシリーズ」をはじめとした各種ソリューションをクラウドサービスとして提供していく予定だとしている。
NISSAY ITでは、日本生命における基幹Webシステムの開発およびテスト向けIT環境を構築するなど、保険業界のノウハウを活かしたクラウドサービスを開発しており、保険業界向けの各種ソリューションをクラウドサービスとして提供していくための基盤構築に取り組んでいる。
そして今回、その基盤上にデスクトップクラウド環境を構築。現在、社員が共通して利用している決裁システムや勤務管理システム、メールシステムなど約10の業務アプリケーションやグループウェアを、デスクトップ・クラウドにて提供する。
これにより、クライアント端末ごとにインストールすることなく、ユーザーの権限に応じてアプリケーションを活用することができるようになる。そして端末管理を集約することができるので、約40%のコストが削減できるとしている。またどのクライアント端末からもアプリケーションを利用できるようになり、端末機器に縛られないワークスタイルを実現した。
Citrix XenAppでデスクトップクラウド環境を仮想化
仮想化には、シトリックス・システムズ・ジャパンの「Citrix XenDesktop Enterprise Edition」に含まれる「Citrix XenApp 6」によるアプリケーション仮想化機能を活用。クライアントに仮想化されたアプリケーション実行モジュールを送り込めるアプリケーションストリーミング機能により、場所を選ばずどこでもアプリケーションを活用できる。
また、Webトラフィックを高速化するWebアプリケーションデリバリコントローラの「Citrix NetScaler」を導入し、デスクトップアプリケーションだけではなく、Webアプリケーションの利用環境も最適化している。
保険業界向けクラウド基盤
同デスクトップクラウド環境のプラットフォームである保険業界向けクラウド基盤には、日本IBMのx86ブレード・サーバー「IBM BladeCenter HX5」と、ディスク・ストレージ「IBM XIV Storage System」を採用。
- BladeCenter HX5は、IBMの次世代x86サーバーのアーキテクチャー「第5世代 Enterprise X-Architecture(eX5)」に準拠し、大容量メモリーの搭載が可能で、効率よくプロセッサーの能力を活用できる。これにより、BladeCenter HX5 1台当たり、約200人分のデスクトップ環境やその管理のためのアプリケーションが集約される。
- XIVは、高性能な仮想ディスク装置としてだけでなく、データの運用・管理や今後のストレージ拡張も容易になっている。このため、同デスクトップ・クラウド環境では常に応答時間が安定し、高水準のサービスレベルが維持できる。
日立がデスクトップ環境の設計・構築を支援
デスクトップ環境の仮想化の設計・構築は、日立製作所による支援を受けている。日立は自社グループでの大規模なデスクトップ環境の仮想化をはじめとした、シンクライアント環境の豊富な構築実績を有しており、今回そのノウハウにより、2カ月の短期間での実装・稼働開始を実現した。
ニッセイ情報テクノロジー
http://www.nissay-it.co.jp/