電通は2010年10月8日、電通グループ各社が提供する統合マーケティングサービスと、セールスフォース・ドットコムが日本で提供するクラウドサービスを組み合わせ、マーケティングプロセス全体をサポートする「マーケティング・クラウド」サービスとして今後クライアント企業向けに開発、提供していくと発表した。
今回のサービスは、電通の情報システム系子会社の電通国際情報サービス(ISID)と、米国セールスフォース・ドットコムの日本法人セールスフォース・ドットコム(SFDC)との業務提携契約を機に展開されるもの。電通は、これまでにもSFDCおよびISIDとともに、いくつかの大型事業にかかわる中で、過去に例を見ない規模のクラウド・コンピューティングシステムの開発と構築に携わってきたという。
今回のサービスではまず、同社がこれまでに培ったノウハウをベースに、ITソリューションを活用した統合マーケティングサービスを提供するための戦略プロジェクト「ITソリューション・タスクフォース」を電通グループ内に立ち上げる。そして、日本国内にデータセンターの設置とクラウドサービスの積極的な提供を予定しているSFDCと提携することで、「マーケティング・クラウド」をコンセプトとしたサービスの開発とその提供を通じ、新たな市場の創造を目指す。
同社によれば、これまでの企業のマーケティング活動において、「広告宣伝」「販売促進」「販売と顧客管理」というマーケティングのそれぞれの段階におけるIT化と可視化は部分的にしか行われておらず、各段階におけるデータと知見が、一連の流れとして結び付いて活用されるというレベルには達していなかった。
「マーケティング・クラウド」サービスでは、これまで困難であったデータの統合管理やマーケティングプロセス全体(商品開発→製造→物流・流通→プロモーション・販売→検証・分析→アフターサービス)の管理を、クラウドコンピューティングを活用することで、よりスムーズに行えるようにするとのこと。
例として、すべてのデータがリアルタイムに1つの画面で確認できるマーケティング・ダッシュボードの機能や、電通独自のマーケティング・ツールやデータベースをクラウド上に提供することで、企業のマーケティング活動をすばやく、かつ効果的に支援できるようにすることを挙げている。
同サービスによって企業のマーケティングプロセスと営業活動やCRM活動を結び付けることが可能となり、業務の設計からシステムの導入、オペレーションの実施まで、トータルなマーケティング活動の管理に役立てられるとしている。