日立ソリューションズは2011年5月24日、金融機関向けの地理情報システム(GIS)を発表した。同社のGISエンジンをベースに、上位アプリケーションとして、銀行や信用金庫の地域営業を支援する機能をパッケージ化した。2011年8月1日に販売を開始し、同年10月1日に出荷する。パッケージのライセンス価格は、800万円から。GIS事業の売上目標は、SIサービス込みで2012年までに5億円。
日立ソリューションズが新たに提供する業務パッケージの名称は「金融機関向け地図情報システム」。同社のGISエンジン「GeoMation」を利用した業種別の地理情報アプリケーションの1つで、銀行や信用金庫の地域営業を支援する。
これまで同社は、農業向けやガス業界向けなど、各種の業種向けに開発したシステム構築事例を、汎用パッケージ化してきた。今回、金融機関向けの開発事例を新たにパッケージ化した。
金融分野は、地理情報システムの1つの柱となる、と同社は指摘する。金融機関は従来、紙の地図に情報を手で書き込んでいた。こうした中、紙の地図よりも効率よく顧客を獲得する方法としてGISの需要が高まっているという。同社が引用した調査会社の予測では、GIS市場全体で2011~2012年は前年比6~7%で安定して伸び、中でも、横ばいのサービス業に比べ、製造、流通、金融向けは伸びる。
訪問計画と統計分析を地図上に表示
パッケージ化した営業支援機能は2つある。(1)「顧客位置情報表示機能」は、訪問予定企業を地図上に表示する機能。顧客の物理的な位置関係と属性情報を視覚化する。これにより、訪問ルートを最適化して営業効率を高められる。(2)「統計分析機能」は、エリア別の集計/分析結果を地図上に表示する機能。例えば「人口伸び率とシェアをクロス集計し、重点的に営業すべきエリアを色分けして表示する」といった使い方ができる。
Webアプリケーションとして開発されており、Webブラウザから利用できる。また、オプションにより、ネットワークにつながっていないオフライン環境でもPDFファイルを介した情報の入出力ができる。地理情報としては、顧客情報や行政データ(課税情報、人口情報、災害情報など)など、任意のデータを取り込める。CSV(カンマ区切り)テキスト形式で取り込めるため、システム連携が容易である。
なお、パッケージの開発工数は、100人月程度いう。ソフトウエア・ライセンスは800万円からで、あらかじめ用意している機能だけであれば、簡単なカスタマイズを付加するだけで導入できる、としている。別途、顧客の要望や開発規模に応じて、個別見積のSI(システム構築)サービスとして受注する。