ネットワールドは2011年6月27日、中小企業に向けて、冗長構成によって可用性を高めたサーバー仮想化環境を安価に構築するためのパッケージ製品「仮想化導入パック」を発表した。3つの製品を組み合わせたパッケージであり、単品で購入するよりも約3割安くなる。価格は、共有ストレージに仮想アプライアンスを使う下位版「エントリーモデル」で99万9000円(税別)など。販売目標は、初年度100パッケージ。
では、サーバー仮想化環境をクラスタリング構成で運用するために必要な、3つの製品をパッケージ化した。具体的には、(1)サーバー仮想化ソフト「VMware」、(2)VMwareの可用性を高める機能であるVMware HAやvMotionの前提となる共有ストレージ(StorMagic SvSANまたはEMC VNX)、(3)VMware HAが関知しないアプリケーション障害を検知するソフト「Symantec ApplicationHA」を組み合わせた。
VMwareのエディションや共有ストレージの構成によって、より小規模の(a)「エントリーモデル」(価格は税別で99万9000円)と、比較的大規模の(b)「エンタープライズモデル」(価格は税別で480万円)の2種類のパッケージを用意した。いずれのパッケージを購入した場合でも、パッケージを構成する製品を単体で購入する場合と比べて、約3割安価に購入できる。
下位版は仮想アプライアンス版iSCSIストレージを使用
(a)エントリーモデルの構成は、以下の通り。
(a1)サーバー仮想化ソフトの「VMware vSphere 4 Essentials Plus」は、VMwareのエントリ向けエディション。物理サーバー(VMware ESX)を3台まで(それぞれ2CPUまで)に限定した、小規模企業向けエディション「Essentials」のうち、VMware HAやvMotionが使える上位版に相当する。単品価格は、51万7900円(税別)。
(a2)共有ストレージの「StorMagic SvSAN」は、VMwareの仮想アプライアンスとして実装した、iSCSIターゲット・ストレージ。複数のVMware ESXに導入したStorMagic SvSAN同士の間で、データのミラーリングがとれる。これにより、きょう体の外部に共有ストレージを用意することなく、VMware HAやvMotionが可能になる。仮想化導入パックの標準価格のままで利用可能なデータ容量は2Tバイト。2Tバイト構成時の単品価格は、24万9800円(税別)。近日中に、データ容量を4Tバイトに拡張するライセンスを提供する予定。
(a3)アプリケーション・クラスタの「Symantec ApplicationHA」は、アプリケーションの障害を検知して復旧させるソフト。アプリケーションの再起動で復旧しない場合は、VMwareの機能を利用して仮想マシンを再起動する。vMotionなどによってリソースが移動してもシステム障害であると誤検知しないようにするなど、VMwareとの親和性が高い。単品価格は、仮想マシン1台あたり7万2000円(税別)。仮想化導入パックの標準価格のままで利用可能な仮想マシンの台数は3台までだが、単品価格と同じ1台あたり7万2000円(税別)を別途支払うことで、仮想マシンを増やせる。
上位版はEMCのiSCSI/NAS統合ストレージを使用
(b)エンタープライズモデルの構成は、以下の通り。
(b1)サーバー仮想化ソフトの「vSphere 4 Enterprise Plus」は、VMwareの最上位エディション。単品価格は、390万3100円(税別)。
(b2)共有ストレージの「EMC VNX」は、ハードウエアのきょう体を持ったストレージ機器。ミッドレンジ・クラスに位置するSAN/NAS統合ストレージであり、従来製品の「CLARiX」(iSCSIストレージ)と「Celerra」(CLARiXにNASヘッドを組み合わせたNAS)という2つの製品ブランドを統合して生まれた製品。仮想化導入パックの標準価格のままで利用可能なデータ容量は2Tバイト。同構成での単品価格は、保守料を含まない場合で164万7500円(税別)、保守込みで190万7876円(税別)。
(b3)アプリケーション・クラスタの「Symantec ApplicationHA」は、エントリーモデルと同様である。