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IBM、短期導入を徹底追求した汎用プラットフォーム「PureSystems」を正式発表

2012年5月11日(金)川上 潤司(IT Leaders編集部)

「後になって振り返ったとき、ITの歴史的な転換点だったと記憶される製品だ」。日本IBMの橋本孝之社長は、戦略製品「PureSystems」の発表会でこう言い切った。直前まで、全世界の同社Webサイトで「4月12日、エキスパート・インテグレーテッド・システム(EIS)を発表」と、事前告知してきた製品である。

[基本コンセプト]
実績に基づいたパターンを適用

IBM PureSystems シリーズの外観 IBM PureSystems シリーズの外観

とは言っても、現時点では決して突飛な製品ではない。サーバーやストレージ、ネットワーク、ハイパーバイザ、OS、管理ソフト、ミドルウェアなどのコンポーネントを、事前に最適な構成で組み合わせ、パラメータも設定して出荷する、垂直統合型の“サーバーアプライアンス”だ。オラクルの「Engineered System」、シスコの「vBlock」など、ハードやソフトを組み合わせて、システムの複雑さを隠蔽すると同時に性能・機能面での最適構成を可能にするアプローチはすでにある。

これらとPureSystemsの違いは、その汎用性だ。数1000のプロジェクト実績をもとに、1000を超える最適な構成をパターン化。OSとしてLinuxやWindows、仮想化ソフトとしてHyper-VやKVM、VMwareなど、様々な製品構成のシステムを自在に組み合わせられるようにした。パターンの活用により、「従来は1カ月以上要していたIT基盤構築を4時間程度で完了できる」(専務執行役員の藪下真平氏)うえ、「他社製品、例えばOracleも組み込める」(常務執行役員のM・ヴィヴェック氏)。

パターンは単にコンポーネントの組み合わせ情報ではなく、サーバーのトポロジやスケーリングのポリシー、各種パラメータ、セキュリティなどが含まれる。IBMはパターン群を「PureSystem Centre」と呼ぶサイトにアップし、Webシステムや、トランザクション処理システムなど業務や用途の切り口で検索できる、SIなどパートナー企業がパターンをアップすることも可能だ。

迅速に、かつ最適な構成をとれるサーバー(=PureSystems)を、かつてのIBMシステム360と重ね合わせれば、橋本社長の言う「歴史的な転換点」が伝わるかも知れない。

[製品の概要]
IAとPowerプロセサを混載可能

PureSystemsはブランド名であり、製品として発表されたのは「PureFlex System」と「PureApplication System」の2機種である。前者はハイパーバイザまでの「インフラストラクチャ」、後者はその上層に位置するOSとミドルウェアまで含めた「プラットフォーム」との位置付けだ(表)。

表 IBMが発表したPureSystemsの概要
表 IBMが発表したPureSystemsの概要。PureApplication Systemの概要に示したスペックは最大構成時

ハードウェアは共通。「今後10年間、仮想化やクラウド、ワークロードの変化に、迅速かつ簡単に対応する観点でゼロから設計した」(IBM)。例えば計算ノード(ブレードではない点に注意)としてインテル製プロセサとPowerプロセサを両方搭載できる。計算ノードとストレージノードなどの、内部接続方式も大幅に高速化した。システム全体を統合管理するアプライアンス「Flex System Manager」も標準搭載する。

想定する用途はサーバー統合やプライベートクラウド、データセンターの基盤など。「CloudBurst」などIBMの既存製品が影響を受けるのは間違いない。価格は、パターンによって変わる計算ノードなどを含まない構成で、Pure Flex Expressの場合が2350万円(税別)からだ。 (川上)

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