[市場動向]
クラウドの月額利用料が10万円から54万円に急伸─IIJの決算から浮かび上がる利用実態
2012年9月18日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部)
クラウドサービスの利用実態はどうなっているのか。 IIJ GIOの売上高は過去2年で50倍に、利用企業数も80社から770社に増加した。 ただし業種で見るとエンタテイメント系を含めた情報通信業43%を占める一方、 製造業は16%、金融・保険業は4%にとどまるなど、まだ偏りがある。
国内のクラウドサービス市場は2015年に2500億円を超えるとの見方があるが、よりミクロな視点で足元を見つめたとき、この数年の間に国内ユーザー企業のクラウド活用状況はどのように変化してきたのだろうか。その詳細を把握する1つの指標として、IIJ GIOの四半期ごとの月額売上高および導入企業数の推移と、利用企業のプロフィールを見てみよう。わずか2年のうちに状況が様変わりしていることが分かる。
導入企業は約10倍に増加
企業のクラウド予算は5倍に
IIJが2012年8月に発表した同年4月〜6月の四半期決算によると、IIJ GIOの売上高は前年同期比141.8%増の12億円に達した。6月の月次でみると売上高は4億2000万円。クラウドへの注目が国内で一気に高まり始めた2年前、2010年6月に800万円だった売上高が50倍超に跳ね上がった計算である(図3-1)。
この「50倍」という数値の背後には、クラウドに対する国内ユーザーの導入意欲を如実に物語る2つの数値がある。1つめは、導入企業数の増加だ。2010年6月の時点でIIJ GIOの導入企業は80社だったが、2012年6月には10倍近くの770社にまで増えた。
もう1つは、ユーザー企業1社当たりがクラウドに投じる費用の増加である。売上高と導入企業数から単純計算すると、2010年6月の段階でユーザー企業がクラウドに費やしていた金額は1社平均で月額10万円だった。それが2012年6月には5倍以上の約54万5000円になった。
特に後者の数値が意味するところは大きい。クラウドの活用によって得られる効果を確認する試行のフェーズを終え、先行ユーザーはいよいよ本格的にクラウドを導入するための予算を確保してメリットを享受する段階に入った。そう捉えることができるからだ。
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