独ソフトウェアAGは10月15日(米国時間)、同日の年次ユーザーカンファレンス「ProcessWorld 2012」の開幕に合わせて(会場:米国フロリダ州オーランド/会期:17日まで)、BPM製品「webMethods」および「ARIS」の新バーション「webMethods 9.0」「ARIS 9.0」を発表した。16日の開幕基調講演に先立ち、同社CEO(最高経営責任者)のカールハインツ・シュトライビッヒ氏ら同社幹部は、プレス/アナリスト向けブリーフィングで両新版の方向性と特徴を説明した。
ソフトウェアAGの製品ポートフォリオの中軸をなすwebMethodsは、EAI(企業アプリケーション統合)、BAM(ビジネスアクティビティ監視)、MDM(マスターデータ管理)など多数のコンポーネントを含むBPMスイート製品である。約2年ぶりのメジャーバーションアップとなるwebMethods 9.0では、クラウドコンピューティング、モバイル、ソーシャルコラボレーション、ビッグデータという、ITの世界における今日の4大トレンドそれぞれへの対応強化がアピールされている。
クラウドに関しては、SaaS型アプリケーションの統合機能を拡張する「webMethods CloudStreams」が新機能として加わった。モバイルに関しては、各種モバイルデバイスへセキュアなアクセス手段を提供する「webMethods Mobile Suite」を新たに提供。ソーシャルコラボレーションについては、ビジネスプロセスの最適化のためのコラボレーションやクラウドソーシングの活用を促すソーシャルコラボレーションツール「webMethods Pulse」が提供されることになった。
そして、webMethods 9.0における機能強化・拡張のハイライトと言えるのが、4つめのビッグデータへの対応強化だ。昨年、ソフトウェアAGが米国テラコッタの買収で得たインメモリ型ーデータ処理・管理技術「Terracotta」との統合がより進められ、webMethods 9.0上で数TBの大容量データへのマイクロ秒単位での高速アクセスが可能になったという。この点についてシュトライビッヒ氏は次のように語った。
「ビッグデータに対して迅速な処理を可能にする基盤を整えることができた企業はその後大きな事業機会を得られるようになる。Terracottaと緊密に統合されたwebMethods 9.0はそのことを可能にする製品で、顧客企業の競争優位性の確立を支援していく」
ソフトウェアAG CEOのカールハインツ・シュトライビッヒ氏は、Terracottaと緊密に統合されたwebMethods 9.0が「ビッグデータの活用で得られる効果を最大化する」と説明
一方、webMethodsとは別系統のBPMソフトウェアであるARISもメジャーバーションアップとなり、同様に9.0のバージョンナンバーが冠された。ARIS 9.0における特徴は、ソーシャルコラボレーション、モバイル、分析、クラウドの4つの面での対応強化が説明された。webMethods 9.0と同様、最新ITトレンドへの対応が今回のメジャーバーションアップのアピールポイントとなっている。
ソーシャルコラボレーションについては、上述のwebMethods Pulseと同じ位置づけで、モデリングへの評価などビジネスプロセスの改善にあたってのコラボレーション作業を促進するツール「ARIS Connect」が用意された。モバイルに関しては、モバイルデバイス向けのビジネスダッシュボードが新たに加えられた。分析については、処理結果をユーザーが必要とするフォーマットでの表示を可能にするなど使い勝手が向上している。クラウドについては、ARIS Connectがパブリック/プライベート/ハイブリッドのクラウド環境で利用できることを指している。
ITジャーナリスト/IT Leaders 編集委員 河原 潤=フロリダ州オーランド
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