MM総研は2014年2月12日、「第2回 ビジネスクラウド総合評価調査」の結果を発表した。そこからは、ユーザー企業の関心がコストから品質へとシフトしていることや、多くの企業がバックアップサービス、脆弱性対策などITインフラとしての信頼性を重視していることといった、クラウドに対する企業の最近のスタンスがうかがえる。
バックアップ、脆弱性対策などの信頼性を重視する企業が増加
また、MM総研によれば、今回の調査では、企業の情報システム基盤としてクラウドの導入が本格化する中で、バックアップサービスやサーバー脆弱性対策、ウイルス対策など、ITインフラとしての信頼性を確保する機能を重視するユーザーが目立ったという。「特に、クラウドの導入で先行する従業員数1000名以上の大企業では、料金や操作性よりも信頼性を確保する機能や導入支援・運用管理サービスを重視する傾向が見られた」(同社)
プライベートクラウドとセキュリティサービスが充実
同社は、クラウドを導入する企業がテスト段階から本番へと移行しているのを反映して、プライベートクラウドのサービスが充実してきていることも挙げる。導入後の運用管理、とりわけパブリッククラウドやオンプレミスシステムと統合するハイブリッド環境の運用管理における品質やVPN接続の容易さなどが重要な観点になっているという。
また、急増するサイバー攻撃とそれへのユーザー企業での関心の高まりも、セキュリティサービスの充実というかたちで調査結果に現れており、「全体にコストから品質へと関心が移ってきている」(同社)ようだ。
なお、分野別の評価項目でのポイントと、それぞれで高評価を得たベンダー/事業者は以下のとおりとなっている。
●パブリッククラウドのサービス機能・品質
サービスの操作性やCPU等リソース・サービスの多様性、ネットワーク、信頼性・サポートなど25項目を評価。SoftLayerの買収によりサービスを強化した日本IBMをはじめ、IIJ、アマゾンデータサービスジャパン、富士通、IDCフロンティアなどが高い評価となった。
●プライベートクラウドのサービス機能・品質
サービスの操作性やCPU等リソース・サービスの多様性、ネットワーク、信頼性・サポートなど25項目を評価。VPN直結のネットワークを一体として信頼性の高いサービスを提供するNTTコミュニケーションズをはじめ、IIJ、富士通、日本IBM、IDCフロンティアなどが高い評価を得た。
●サービス料金
パブリッククラウドの最少構成価格、代表的モデル価格、ネットワーク接続料金など6項目を評価。必要なITリソースを低価格で利用できるGMOクラウド、さくらインターネット、アマゾンデータサービスジャパンや、ネットワーク接続料金が低いNTTコミュニケーションズが高い評価となった。
●導入支援・運用管理
導入支援・運用管理、セキュリティサービス、ハイブリッド環境対応など14項目を評価。導入時のプラン作成や導入後のシステム監視・運用管理、セキュリティサービスなどに強みを持つ日本IBM、IIJ、富士通、KVH、NTTコミュニケーションズなどが高い評価を得た。