2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」を取り上げる本連載。IT戦略における日本と世界の差異を見極めるための観点として、第1回から第6回までは、クラウド・コンピューティングを中心にグローバルトレンドを見てきた。今回からは、クラウド・コンピューティングに並ぶ、もう1つの重要キーワードである「GRC(Governance、Risk、Compliance)」の観点から、グローバルトレンドを見ていく。
2013年、出雲大社で60年ぶり、伊勢神宮では20年ぶりの出来事があったことは、読者もご存じだろう。本殿・社殿の遷宮である。これは、技術=テクノロジーの伝承と密接な関係がある。宮大工の技術継承という目的があるからだ。
ただ、伊勢神宮は余分なコストがかかるという「リスク」を承知で、痛んだ個所を修繕するのではなく、20年に一度、新しく建物を作り直す。これに対し、出雲大社は、可能な限り古い材料を活かし、趣を重視した遷宮を実施する。技術継承の目的は同じでも、こうした違いがあるのは興味深い。
一方、エジプトのピラミッドのテーマは、技術伝承ではなく、いかにハードウェアを長持ちさせるかである。国内外で方法に違いはあるが、いずれもが信仰に即した取り組みだ。現在流にいえば、「コンプライアンス」を守り、信仰対象の「ガバナンス」を取る手法である。
伊勢神宮の遷宮などに現れる3つのキーワード、「ガバナンス(Governance)」と「リスク(Risk management)」「コンプライアンス(Compliance)」の頭文字を取ったものが「GRC」である(図1)。
会員登録(無料)が必要です
本連載『2020年を見据えたグローバル企業のIT戦略』の第1回〜第12回が「クラウド、GRC編」として、IT Leadersの電子書籍『IT Leaders選書』になりました。お手元でじっくりとお読みいただけます。こちらから、どうぞ、お買い求めください。
- 1
- 2
- 3
- 4
- 次へ >
- 【第24回】IoT が実現する社会に向けた戦略を確立せよ(2015/10/05)
- IoTで活性化するロボットとAI─感情をデジタルで扱うために:第23回(2015/09/07)
- 【第22回】IoTでデータを再集中させるセンサーの課題が未解決(2015/08/03)
- 【第21回】IoTが導く第3のドリブンは“エモーション(感情)”(2015/07/06)
- 【第20回】IoT活用で問われているのは発想力、ブレインライティングが有効(2015/06/01)