[韓国ICT事情]

韓国の国家情報化予算はビッグデータ、モバイル、セキュリティに集中

2014年5月12日(月)李 東源

電子政府の推進などを筆頭にICT活用を積極的に進める韓国。現地メディアの報道から、韓国の官民の最新動向をピックアップして紹介する。

ビッグデータで渋滞解消
警察庁、実証実験を開始へ

──デジタルタイムズ 2014年3月28日

 道路状況をリアルタイムに把握/分析するビッグデータ技術を生かして、主要道路の信号体系を運用する方案が推進されることになった。専門家は交通の流れが効率的になり、常に渋滞する地域や道路の改善に貢献すると見ている。

 27日、警察庁は「交通情報ビッグデータ分析を利用したスマート信号運用アルゴリズム開発」事業を推進することを公表した。同庁は、国内の自動車が毎年40万台ずつ増加し、交通量も増える中で、道路保守や新規の道路建設に多くの予算が投入されている点を課題とし、この解消のためにビッグデータ技術の活用に辿り着いた。

 既存の信号制御システムは、特定の位置にある検知器を利用する方式であり、リアルタイムで変化する交通量には対応できなかった。これに対し警察庁は、渋滞区間や車両速度、通行量など交通情報をリアルタイムで収集し、効率的な信号体系を導入する計画である。すでに地方自治団体と共同構築した交通情報提供基盤システム(UTIS)を活用することで導入費用の節減も図る。

 これにより道路上の自動車の全体的な遅延時間を減らし、関連する社会的な費用と大気汚染も減らせる。同庁は今年はシミュレーションを含めて研究を続け、来年から実証実験都市を選定する。妥当性が立証されれば、他の主要都市にも適用を推進する方針である。なおUTISは2005年からソウル、仁川など26都市で構築され運用中の交通情報システムである。

公認認証書とActiveXが“隠れ規制”
規制緩和に向け、議論深まる

──韓国日報 2014年3月22日

 青瓦台における規制改革討論会で、「公認認証書」と「ActiveX」に対する議論が話題をまいている。オンライン販売において、これらが海外消費者による韓国製品購買を妨害する、つまり「韓流の敵」になっているとの論理である。

 朴大統領は、「中国の消費者が現地で放送される韓国ドラマに出てくる特定商品を買いたくても、公認認証書がないから買えない」と指摘。全国経済人連合会の李副会長も「ActiveXは韓国型のガラパゴス規制である」と批判した。

 実はこの騒ぎ、以前からずっと続いてきた問題だ。「公認認証書は、もっとも確実なセキュリティ認証手段」という擁護論と、「取引活性化を妨害するモンスター」という批判論が対立していた。政府は上半期中にオンライン販売業者には公認認証書の使用を免除するなどの改定案を準備すると言っているが、簡単には結論は出ないとの見解が多い。

 問題になっている公認認証書は、オンラインで本人確認でき、かつ署名機能も持つ「サイバー印鑑証明」のこと。ネット取引が増え始めた2000年初めにセキュリティの脆弱性を担保するため、当時の政府が公認認証書を通じてしか金融取引をできないように「電子金融取引法」を定めた。Webでの住民票発行や税金納付なども公認認証書が必須である。

 その存続を主張する側は「1回の発行だけで全ての商取引、金融取引、行政サービスで使える。これが最も安全で確実な本人認証手段である」と強調する。政府関係者は「あまりにも広範囲で使われているため、別の手段に置き換えるには、とんでもない費用もかかってしまう」と語る。これに対しオープンネットのハン事務局長は、「国家主導の公認認証書体系は世界で韓国しかない」、「海外では様々な私設認証が許容されており、AmazonでもeBayでもIDとパスワードだけで決裁が可能だ」との立場だ。

 「ActiveX」も同様である。マイクロソフトのInternet Explorer(IE)では標準で動くが、他のブラウザではそうではない。公認認証書もActiveXがないと使えない。ActiveX擁護論者は「国内のほとんどの政府機関と金融機関を含む利用者の多くがIEを使用する現状では、最適のセキュリティ措置」という。しかし延世大学のガン博士は「消費者はActiveXとインターネットを同一のものと錯覚しているだけ」といい、「最近のハッキング事故はActiveXに悪性コードを移植して発生した」と、セキュリティ問題を指摘する。

 すでに、ある電子決済代行企業が「携帯認証」だけで購買が可能なサービスを開始するなど、公認認証書とActiveXを代替できるサービスは生まれている。だが普及には至っていない。国内のほとんどのカード会社はActiveXを基盤にした決済・セキュリティシステムを構築しているので、これらと契約を締結するオンラインモールは新しいサービスの導入ができないのだ。

 「政府が公認認証書を推奨したことで、企業と金融機関もActiveXだけ連携すればセキュリティ責任を果たしたと考える病弊ができた」とKAISTの金教授は語る。「ユーザー利便性を考慮し認証手段の多様化など、政府がパラダイムを変えるべき時だ」と指摘する。

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