[イベントレポート]
Analytics Cloudの投入で目指すは「顧客成功基盤」―Dreamforce 2014でベニオフCEO
2014年10月17日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)
米サンフランシスコで開催中のセールスフォース・ドットコムの年次ユーザーコンファレンス「Dreamforce 2014」(会場:モスコーニ・センター/10月13日~16日)。基調講演に登壇した会長兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏は、新しい企業ビジョン「カスタマーサクセスプラットフォーム」を掲げ、顧客を成功に導くことのできるサービスの提供を続けていくことを明言した。(ITジャーナリスト/IT Leaders 編集委員 河原 潤=サンフランシスコ)
1999年に「The End of Software=パッケージ・ソフトウェアの撤廃」を掲げて創業。以来、企業向けクラウドコンピューティングの旗手として業績・業容の拡大を続けてきたセールスフォース・ドットコム。本社のあるサンフランシスコで開かれるDreamforceは、セールスフォースが最新のビジョンやサービスをユーザーやパートナーに紹介・説明する場であり、これまでの重要な発表の大半はここで行われてきた。
ざっと振り返ると、2005年にSaaSのマーケットプレイス「AppExchange」、2006年にSaaS開発環境「Apex/Force.com」、2009年にSNSコラボレーションツール「Chatter」、2010年にクラウド対応データベース「Database.com」と買収で得たPaaS環境の「Heroku」、2011年にソーシャルエンタープライズ戦略、そして2013年にモバイル前提の開発プラットフォーム「Salesforce1」といったあたりがマイルストーンになる。
今年のDreamforceでの最注目は、前日に発表された分析技術プラットフォーム「Wave」および「Analytics Cloud」サービスだ(参考記事:セールスフォース、「Salesforce Wave/Analytics Cloud」を発表し分析/BI市場に参入)。Analytics Cloudは、原点にして主力のCRM/SFA「Sales Cloud」、顧客サービス/サポート支援の「Service Cloud」、マーケティング支援の「Marketing Cloud」、顧客エンゲージメント支援の「Community Cloud」、上述のSalesforce1といった各サービスに統一のクラウド分析環境を提供する。
Wave/Analytics Cloud投入の背景に「顧客データ革命」
クラウド分析サービス投入の背景を説明するのに、ベニオフ氏は「顧客データ革命」という言葉を用いて、業務データの爆発的な増大や、データの扱い方がビジネスに与える影響について言及した。過去のDreamforceでテーマにしてきた、クラウド革命、ソーシャル革命、モバイル革命に続いて、今年はデータ革命に着目せよというわけだ。
「皆さんは、全世界で蓄積されたデータの90%が過去2年間に生成されたものであることをご存じだろうか。顧客、従業員、パートナーがクラウドでつながったことで、膨大な量のデータが日々作り出されている。その勢いが今後さらに加速し。2020年までに、モバイルデータは今の10倍に、非構造化データは19倍に、製品データは50倍になると見積もられている」(ベニオフ氏)
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続けてベニオフ氏は、データ革命の最大の課題として、「データデバイド」を挙げる。これは、データを収集・保存・蓄積するところまではどの企業でもできるが、蓄積したデータをビジネスに活用できてるところは少ないことを指している。同氏は、すでにデータ分析ツールはさまざま存在するが、いずれも1世代前のデータの特性に基いた古い技術であると指摘し、データの扱い方にもブレークスルーが必要だと訴えた。
「モバイル、ソーシャル、クラウドの特性を考慮し、すべてを組み合わせるやり方で、データの蓄積と活用の間の大きなギャップを埋める必要がある。そこで我々が解決策として提供するのがWaveだ」(ベニオフ氏)
WaveをベースとするAnalytics Cloudのセールスポイントは、「だれでも、どのデバイスでも使える」点にある。ベニオフ氏が問題視するデータデバイドは、高価な分析ツールを導入したものの、統計解析などデータ分析のスキルを持たないビジネスユーザーには結局、使いこなせなかったというツールの操作性によるところも大きい。
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