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訪日中国人向けPRを中国ネットメディアで―新浪日本総合ネットワーク

2016年6月21日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

中国のYahoo!といわれる新浪(sina)やTwitter、Facebookに変わるSNSの微博(weibo)を使って中国人観光客を取り込め―新浪日本総合ネットワークグループは2016年6月15日、中国を代表する両メディアを運営する新浪公司と、中国のサーバーへの編集権も含めた独占販売権を取得したことを発表した。インバウンド需要を取り込みたい日本企業にとっての強力なツールとなりそうだ。

 中国のIT企業が世界を席巻している。総取引額が約50兆円というB2Bマーケットプレイスの阿里巴巴(Alibaba=アリババ)や通信機器メーカーの華為技術(Huawei=ファーウェイ)、IBMからパソコン事業、PCサーバー事業を譲り受けた聯想集団(Lenovo=レノボ)、新興ながらAppleを脅かす存在となっているスマートフォンメーカーの小米科技(Xiaomi=シャオミ)など、グローバルでトップ争いを演じる中国系IT企業が次々と現れている。

 インターネット分野に目を移すと、こちらは当局によるアクセス規制という特殊な要因により、欧米のグローバルサービスに変わる国内向けの独自サービスが活躍している。米Googleに相当する検索サイトの百度(Baidu=バイドゥ)、米Whats Appや日本のLineに相当するメッセージングアプリの微信(WeChat=ウィーチャット)などは、豊かな国内市場で十分に体力を付けたうえで国外に打って出ている。

 GoogleやWhats Appだけでなく、Yahoo!やTwitter、Facebookといったサービスも規制を受けており、中国国内からは利用できない。そこを狙って登場したのが新浪公司だ。同社はYahoo!に相当するインターネットポータルサイトの新浪(sina=シナ)、TwitterやFacebookに相当するSNSの微博(weibo=ウェイボー)を運営している。

 新浪は1日のアクセス数が11億5千万ページビュー(PV)、ユニークユーザー数6千万人という中国最大のポータルサイトとなっている。中国のネットユーザー数は6億2千万人といわれており、いかに多くの中国人が利用しているかがわかる。

 ミニブログサービスという、TwitterとFacebookを合わせたようなSNSサービスを提供する微博のユーザー数は6億人以上。月間アクティブユーザー数は2億6千万人、デイリーが1億2千万人というから、月間アクティブユーザー数がグローバルで3億人というTwitterに迫る勢いだ。

 新浪には、国別に観光地やグルメ、お土産から不動産まで、様々な情報をまとめた専用サイトがある。日本の情報を扱ったサイトもあり、多くの中国人観光客が訪日前や訪日中の情報収集に新浪を利用しているという。拡散力があり、リアルタイム性の高い微博も含めて、インバウンド需要を期待する日本企業からも有望な情報発信メディアとして注目されている。

 これまで微博の広告は、日本のFind Japanが代理店として対応してきたが、今回新たに新浪や微博の総代理店として事業を開始したのが、新浪日本総合ネットワークグループだ。社名に新浪の名を冠しているが、新浪公司の日本法人ではなく、れっきとした日本企業。新浪公司の資本は入っていない。

新浪日本総合ネットワークグループの橘通頼社長

 同社は、新浪と微博の日本における広告・PRの独占販売権を取得している。新浪、微博を使って訪日中国人観光客向けのPR展開を行いたい日本企業は、日本語でプロモーションの打ち合わせを行い、中国語で掲載することができる。橘通頼社長によると「中国にある新浪サーバーに直接アップする編集権を獲得している」ことにより、単純な広告掲載だけでなく、編集ページも使ったPR展開が可能になったという。

 観光庁の調べでは、2015年の訪日中国人観光客数は500万人、旅行消費額は1兆4千万円だった。ひとりあたり約28万円使ったことになる。中国経済の減速が伝えられ、日本経済に大きく寄与してきた「爆買」の縮小が心配されているが、橘社長は「1人あたりの消費額は減るが、訪日人数は増える」という見通しを披露、両メディアがインバウンド需要を期待する日本企業にとって魅力的な媒体であることに変わりはないことを強調した。

 2016年夏からは、微博の新メニューとして、訪日中国人観光客に対して日本でのエリアターゲティングが可能になる「日本エリア配信サービス」も開始する予定だ。

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