IT大手の米HP Enterpriseが2016年9月7日、ソフトウェア事業のスピンオフを正式に発表した。オープンCOBOLの最大手である英Micro Focusと統合させて新会社を設立する。HPEの株主は新会社の株式のうち50.1%を所有し、HPEは25億ドルをキャッシュで受け取る。取引の価値は88億ドルになるという。
米HP Enterprise(HPE)のソフトウェア事業のスピンオフについては、かねてから動向が報道されていたもの(関連記事)。今回、スピンオフするのはHPEが「ノンコア(非中核)」に位置付けるソフトウェア事業である(図)。
図:HPEのソフトウェア事業の統合を告げる英Micro Focusのホームページ拡大画像表示
具体的には、2006年に45億ドルで手に入れた「Mercury Interactive」、2011年に103億ドルで買収した「Autonomy」のほか、ビッグデータ分析プラットフォームの「Vertica」や、情報セキュリティ対策の「ArcSight」、さらには各種のITオペレーションのためのソフトウェアなどが含まれる。逆にITインフラストラクチャ管理の「OneView」や、クラウド構築用ソフトウェアの「HPE Helion OpenStack」、PaaSである「HPE Helion Stackato(スタッカート)」は残す計画だ。
これによりHPは一段とスリム化する。新会社の株式をHPEの株主が保有するこのようなやり方は、201年5月に発表したエンタープライズサービス部門の分離と同じ。同部門を米IT大手のCSC(Computer Sciences Corp)と合併させる計画だが、このケースでも、HPEの株主は新会社の株式の半分を取得することになる。
HPEとMicro Focusは今回、独SUSEをHPEのLinux事業におけるパートナーとする計画も発表した。HPEのOpenStack、StackatoをSUSEが持つOpenStackに関する専門ノウハウと組み合わせることで、企業に最適なハイブリッドクラウドを提供するという。
ところで9月7日は奇しくもDellによるEMCの買収が完了し、Dell Technologiesが誕生した日(関連記事)。 DellもHPE同様に、自ら買収などで育んできたITサービス部門とソフトウェア部門を分離した。だが、EMC買収により、VMwareやPivotal、RSAといったソフトウェア事業とEMCが展開するサービス事業を取り込み再編することで、巨大なIT企業に生まれ変わった。
Dell Technologiesの会長兼CEOであるMichael Dell氏は9月7日付けのニュースリリースにおいて「我々は、次の産業革命の始まりにいる。世界は刻一刻とインテリジェントになり、コネクトされつつある。IoTと相俟って顧客が信じられないこと(incredible things)を行うための道を作りつつある。これがDell Technologiesを創った理由だ。当社は製品、サービス、人材を擁しており、変化に対するグローバル規模の触媒となる。規模の大小にかかわらず、顧客である企業のデジタルジャーニーをガイドする」と述べている。
アプローチは違うが、その方向感はHPEも同じだろう。ただ、それぞれの選択結果として、売上高が280億ドルのHPEと同740億ドルのDell Technologiesは好対照の規模になる。
【修正履歴】公開当初、「新会社の株式の半分をHPEが保有する」となっていた記事本文の第3段落を、9月12日13時に「新会社の株式の半分をHPEの株主が保有する」と変更しました。
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