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[インタビュー]

「CIOこそがデジタル化のリーダーに」─シンギュラリティ大学の未来学者ポール・サフォー氏

2016年12月22日(木)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

AI(人工知能)が急速に進展もあり、テクノロジーが人の知恵を越えるとする「シンギュラリティ(技術的特異点)」の現実味が高まっている。デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)あるいはデジタルディスラプション(創造的破壊:Digital Disruption)への対応は喫緊の課題だ。CIOやIT部長といった、これまでのITリーダーは、デジタル化にどう望むべきか。米シリコンバレーに拠点を置き、スタンフォード大学やシンギュラリティ大学の教壇にも立つポール・サフォー(Paul Saffo)氏に聞いた。

──そうした変革の中でCIOはどう立ち回ればよいのか。

未来学者のPaul Saffo(ポール・サホー)氏

 冒頭で指摘したようにデジタルの価値を最も理解しているのはCIOのはずである。であれば、CIOこそがCDO、すなわちChief Digital Officer(最高デジタル責任者)あるいはChief Disruptive Officer(最高破壊責任者)として、デジタル対応に向けたリーダーシップを発揮するべきだ。デジタル化に向けては、CSO(Chief Security Officer:最高セキュリティ責任者)やCMO(Chief Media Officer:最高メディア責任者)など新しい役職が次々と生まれている。CIOが先に言い出さなければ、他のCxOがやることになるだろう。

 CIOの評価は、これまでは不公平だった。組織の側に立ち、ガバナンスやコンプライアンスのために「No」を繰り返すのが役割だったからだ。だが今は、トライする時代である。CIOは「Yes」という立場に変わらなければならない。CIOとして、デジタルトランスフォーメーションに、どれだけフォーカスできるかが問われている。CDOとしては、無理にでも一歩先を行く戦略を立案する必要がある。

デジタル化のリーダーこそが次世代のCEO

 CEO(Chief Executive Office:最高経営責任者)になるためのポジションとしてのCxOを考えてほしい。資本主義経済の変遷で説明したように、1900〜1950年は、ものづくりの時代であり、製造部門を掌握できた人がCEOになった。それが消費社会になり、営業部門やマーケティング部門が台頭してきたことで、両部門がCEOへの登竜門になった。製造部門は常に重要だが中心ではない。ものづくりに、こだわる姿勢は“おたく”扱いされ、社長にはなれなくなった。

 つまり、その時代に最も不足しているリソースを司るポジションが次期社長の候補だということだ。そして今は、ポスト消費経済、デジタルが主役の時代になった。CDOと呼ばれるような人材が最有力候補なのだ。米国には「鯨の背中で鰯を釣る」という、ことわざがある。「足下に大きな獲物があるのに、小さな獲物しか目に入っていない」という意味だ。CIOは改めて、ITにこれまで携わってきたことの価値を再認識すべきだろう。

 例えば、CIOはIT部門以外に属する若手に働き掛け、「デジタル大学」を立ち上げてみるのはどうだろう。彼らはデジタルを前提に育ってきた世代であると同時に、将来のキャリアアップのためにはITスキルが必要な世代でもあるからだ。

 テクノロジーは常に変革を起こしてきた。ただ今起こっている変革は、スマホの普及によってポケットの中で起こっていることが従来とは異なっている。そして、従来のITは、組織に横串を指しプロセスを結び付ける“糊”だとされてきた。だがデジタルテクノロジーは、各種の制度を結び付けてきた糊を溶かすための“溶剤”である。一体だったモノを分離することで、それぞれが変容していく。そしてデジタルトランスフォーメーションとは、そうして変容した部品を改めて融合させることである。

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シンギュラリティ / エクスポネンシャル / デジタルトランスフォーメーション / リーガルテック / Ford Motor

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