[イベントレポート]
Salesforce.com、Einstein Platform Servicesなど開発者向け製品のアップデートを発表
2017年6月30日(金)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
米Salesforce.comは6月28日(米国時間)、米サンフランシスコで開催された同社のプライベートカンファレンス「TrailheaDX 2017」において、AIプラットフォーム「Einstein」などアプリケーション開発者を対象にした3製品のアップデートを発表した。
「Trailhead」をフィーチャーしたカンファレンス
TrailheaDXはSalesforce.comが提供するアプリケーション開発者向けの無料のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead」をフィーチャーしたカンファレンスで、2回めの開催となる今回のイベントには約6000名が参加している。
今回、TrailheaDXで発表されたSalesforce.comによる製品アップデートの概要は以下の通り。
・Eisntein Platform Services
画像認識や自然言語処理、アナリティクスといったAI機能をアプリケーションに実装するためのAPIサービス群。今回発表されたのは、ソーシャルメディアやメールなどのテキストデータから人間の感情(ポジティブ/ネガティブ/ニュートラル)を分類し、適切なアクションにつなげる「Einstein Sentiment」、人間の潜在的な感情や意図をレビューやコメントから読み取って学習する「Einstein Intent」、1枚の画像の中に含まれる複数のオブジェクトを認識し、場所やサイズなどを特定する機能を学習していく「Einstein Object Detection」。
なおEinstein Object Detectionは買収したMetaMindのディープラーニング技術をベースにしている。現時点ではEinstein SentimentとEinstein Intentはベータ版、Einstein Object Detectionはパイロット版(限定公開)で、対応言語は英語のみ(その他の言語にも対応予定)。2017年3月に発表された画像認識API「Einstein Image Classification」もEinstein Platform Servicesに含まれる。
・Platform Events
CRMデータの変更をリアルタイムに検知してトリガを作成し、ワークフローを自動で変更するイベントドリブンな機能。HerokuやLightningなどの開発環境に統合された機能として提供される。顧客のアクションに直接ひもづいたトリガを作成できるので、リアルタイムな通知機能などを容易にアプリケーションに実装できる。発表と同時に一般提供が開始されており、価格は処理されたデータの量にもとづく。
・Salesforce DX Open Beta
GitやJenkins、Seleniumといったサードパーティツールや標準的なテキストエディタでのSalesforceアプリケーション開発を実現するソースドリブンな開発環境。CLI(コマンドラインインタフェース)を実装し、アプリケーションの継続的なインテグレーションとデリバリを強く意識している。また、既存のSandboxとは別に「scratch org」という最長7日間のビルド環境を用意しており、迅速なテスト/デプロイ、およびチームコラボレーションを可能にしている。HerokuやLightning、Force.comといったSalesforce以外のツールによる開発を可能にすることで、開発者のエクスペリエンス(Deveolper eXperience)を向上させることを狙いとしている。
昨年の「Dreamforce '16」ではじめて発表され、限られたユーザのみを対象とするパイロット版として提供されてきたが、今回オープンベータ版が公開に。正式リリースは2018年冬が予定されている。
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