日本オラクルは2019年8月7日、説明会を開き、同社のクラウド型アプリケーション事業について情報をアップデートした。オンプレミスからクラウドへの移行を支援するサービス「Soar to the Cloud」にも力を入れている。同日付けで発表した三菱ふそうトラック・バスの事例など、いくつかのユーザー事例も紹介した。
日本オラクルは、同社がSaaS型で提供しているビジネスアプリケーションの動向について情報をアップデートした。売上ベースでは、2016年から2019年にかけて、オンプレミス用ソフトウェアの売上が下がり続けているのに対し、SaaSの売上は増え続けている。オンプレミスとSaaSを合わせた売上も増えている。
SaaSで提供しているアプリケーションの種類も増えている(図1)。数年前までは買収によってアプリケーションを拡充していたが、現在ではアプリケーションのポートフォリオがほぼ完成した、としている。例えば、ERP(統合基幹業務システム)、SCM(サプライチェーン管理)、EPM(企業業績管理)、HCM(人事・人材管理)、CX(顧客体験)などのアプリケーションを提供している。
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直近では、SaaSを日本国内のデータセンターから提供できるようにした(関連記事:日本オラクル、Oracle Cloudの東京データセンターを開設、6カ月以内に大阪も追加)。東京リージョン、大阪リージョンともに、半年後をめどに提供を開始する。
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オンプレミス環境のアプリケーションをSaaSに移行するサービスプログラム「Soar to the Cloud」にも力を入れている。日本オラクルの専務執行役員でクラウド・アプリケーション事業統括のピーター・フライシュマン氏(写真1)は、「一度クラウドに移行してしまえば、それが最後のアップグレードだ。SaaSなら自動でアップグレードできる」と、クラウドに移行するメリットを説明する。
説明会では、同社のSaaSを利用しているユーザー事例をいくつか紹介した。
このうちの1つが、同日付けで発表した、三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)の事例である。社員約1万人のパフォーマンス向上と人事業務の効率化を目的に、クラウド型の人事・・人材管理ソフト「Oracle Human Capital Management(HCM) Cloud」を導入し、稼働させた。
MFTBCでは、人事管理システムが用途ごとに複数存在していた。このため、システム間のインタフェースやデータ管理プロセスが複雑化しており、人事関連業務の効率性や社員の利便性、システムの維持管理において、多くの課題を抱えていた。こうした経緯でOracle HCM Cloudを採用した。
MFTBCは、2018年11月からタレントマネジメントシステムとしてOracle HCM Cloudを利用している。社員の目標、評価、報酬管理を行っている。2020年には、人材情報、組織、情報変更申請などの人事コアデータ管理業務をOracle HCM Cloudに統合する予定である。
ほかの事例として、全日本空輸(ANA)の事例も紹介した。間接材を中心としたグループ調達業務の可視化とガバナンスの強化を目的に、クラウド型の調達管理システム「Oracle Procurement Cloud」を導入した事例である(関連記事:全日本空輸がOracleのクラウド調達管理システムを導入、間接材調達コストを5%削減する見込み)。
このほか、クラウド化でERPの導入費用を半減させたイビデンの事例、ERP CloudとEPM Cloudでグループ6社の経営状況を見える化したタイヨーの事例、IoTクラウドを導入して生産監視システムなどを実現した三菱電機の事例、などを紹介した。