富士通と理化学研究所は2019年11月19日、スーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」のプロトタイプが、スーパーコンピュータの消費電力性能を示すランキング「Green500」において世界1位を獲得したと発表した。富士通の沼津工場に設置したシステムで、消費電力1ワットあたりの性能で16.876GFLOPS(ギガフロップス)を達成した。
Green500は、消費電力1ワットあたりのスーパーコンピュータの性能ランキングである。年に2回リストを更新しており、最新版(2019年11月版)は、米国で2019年11月18日に公開した。これによると、スーパーコンピュータ「富岳」のプロトタイプが、16.876GFLOPS/W(ギガフロップスパーワット)で1位となった。2位はExascalerとPEZY Computingの「NA-1」(16.256GFLOPS/W)、3位は米IBMの「AiMOS」(15.771GFLOPS/W)だった。
今回Green500で世界1位を獲得したシステムは、「富岳」のプロトタイプとして富士通が製造し、沼津工場(所在地:静岡県沼津市)に設置したものである。本システムは、富士通が開発したARMアーキテクチャのCPU「A64FX」(写真1)を768個搭載している(関連記事:富士通、ポスト「京」のCPU「A64FX」の仕様を公表)。システムのピーク性能は、2.3593PFLOPS(ペタフロップス)になる。
理化学研究所では、汎用CPUながら電力性能が高いことについて「GPUマシンがランキングの上位を占める中で、汎用CPUマシンがこれらを上回るのは非常に画期的なこと」というコメントを出している。
なお、今回のプロトタイプは、TOP500のランキング(連立一次方程式を解くLINPACK)では1.9995PFLOPS(ペタフロップス)で159位である。