MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス、および傘下の三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、MS&AD事務サービスの4社は2021年4月26日、自賠責保険の解約手続きを自動化する「計上業務自動化フロー」を開発したと発表した。三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保において、同年4月に導入を開始した。解約書類をAI-OCRで読み込んでデータ化することで、解約情報のデータ入力を省力化する。導入効果として、年間で約4万時間の労働時間を見込む。
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、自賠責保険の解約手続きの自動化に取り組んだ。RPAとAI-OCRを組み合わせた「計上業務自動化フロー」を開発し、2021年4月に導入を開始した(図1)。
AI-OCRには、AI Insideのクラウド型AI-OCRサービス「DX Suite」を採用した。解約情報のデータ入力を省力化することで、年間で約4万時間の労働時間の削減を見込む。入力画面への入力ミスも減る。
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計上業務自動化フローでは、全国から送られてくる解約手続き書類「自動車損害賠償責任保険承認請求書」をPDF化し、AI-OCRサービスのDX Suiteにアップロードしてテキスト化する。テキスト化したデータは、三井住友海上およびあいおいニッセイ同和損保のオンライン入力画面に、RPAを用いて自動で入力する。こうして解約処理を進める。
従来、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、紙原票を確認しながら、1件ずつすべて手作業で、自賠責保険の解約関連業務を処理していた。帳票の種類が多いなどの理由から、これまではシステム化できていなかった。例えば、全国各地から送られてくる解約手続き書類は10種類以上に上る。類似帳票が多く、手書きとゴム印が混在しており、元号別の帳票も混在している。
従来は、AI-OCRによる帳票の識別が困難だった。解約手続きに必要な書類(自動車損害賠償責任保険承認請求書)のフォームは10数種類以上あり、元号別の帳票世代も混在しているからである。これらは、レイアウトは類似しているものの、細部が異なっている。
今回、AI Insideが開発した独自の技術によって、解約手続きに必要な書類を識別できるようにした。また、今回のシステムでは、AI-OCRによる帳票識別や手書き文字の自動認識だけでなく、漢字表記からフリガナへの自動変換(独自のデータベースを使用)や、住所、名前、振込口座欄にゴム印を押したケースの処理も自動化した(画面1)。
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