NECソリューションイノベータは2022年8月30日、不良品検出サービス「NEC AI・画像活用見える化サービス/生産管理・検査支援」を強化し、新機能「AI判定画像出力機能」を追加した。サービス導入後の運用において適宜必要になる、画像判定の精度向上のための学習用画像の収集とアノテーション作業を省力化する機能である。AI判定済みの画像と判定結果のデータから良品・不良品ラベルを付与したアノテーション済みのデータを自動で生成するので、教師データとしてそのまま利用可能。価格(税別)は月額19万8000円から。
NECソリューションイノベータの「NEC AI・画像活用見える化サービス/生産管理・検査支援」は、製品の画像をAIで判定することによって、良品と不良品を検出・分類するクラウドサービスである。主に食品製造業向けに提供する(関連記事:NECソリューションイノベータ、良品画像の学習だけで不良品を検出する品質管理支援サービス)。
特徴は、良品画像の学習だけで不良品を検出すること。このため、不良品の発生頻度が低くて不良品画像の収集が難しい場合でも、不良品や異物を検出可能である。また、専門的な知識がなくてもWebブラウザ上で学習モデルの作成や評価が可能なツールも提供する。ユーザー自身で検査対象物を追加したり判定条件を変更したりできる。
拡大画像表示
今回、同サービスを強化し、「AI判定画像出力機能」を追加した(図1)。サービス導入後の運用において適宜必要になる、AI画像判定の精度向上のための学習用画像の収集とアノテーション作業を省力化する機能である。これにより、教師データの準備時間を削減する。
メニュー画面のボタンをクリックするだけで、対象物のカメラ撮影、対象物のAI判定、AI判定結果をもとにした画像へのラベル付与、アノテーション済みの教師データの出力までを実行(写真1)。教師データはPascal VOC形式のxmlファイルとして出力するため、必要に応じて判定結果を補正できる。
拡大画像表示
極洋食品がアノテーション時間を60時間から20時間に短縮
同機能のパイロットユーザーとして、極洋(東京都港区)と極洋食品(宮城県塩竈市)がエビフリッターの製造ラインに導入した。検証の結果、社員が実施していた6000尾のエビが写る200枚の画像にかけるアノテーション作業を、従来の60時間から3分の1の20時間に短縮できた。AI判定精度も向上し、作業終了時刻の正確な予測や不良品増加時のリカバリなど、作業現場での改善活動にも貢献している。
エビフリッターの原材料であるエビのように、大きさや形に個体差のある原材料を扱う場合、AIによる不良品判定の精度向上のためには、大量の教師データの作成と継続的な精度向上が必要である。このため、大量の学習データの準備と、1件1件手作業でラベル付けを行うアノテーション作業が、現場担当者の大きな負担だった。