[新製品・サービス]
ヴィーム、「Veeam Backup & Replication v12」をリリース、書き換え不能ストレージやオブジェクトストレージにバックアップ可能に
2023年4月13日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
ヴィーム・ソフトウェアは2023年4月12日、データバックアップソフトウェア新版「Veeam Backup & Replication v12」を発表した。新版では、イミュータブル(書き換え不能な)ストレージをバックアップ先として選べるようにしたほか、オブジェクトストレージに直接バックアップをとれるようにした。監視ソフトウェアにおいては、ジョブ稼働状況をカレンダー形式で可視化して把握できるようにした。また、今回から新製品体系「Veeam Data Platform」(3エディション構成)に刷新した。エディションに応じて、含まれる製品の数が変わる。
ヴィーム・ソフトウェアの「Veeam Backup & Replication」(VBR)は、データバックアップソフトウェアである。特徴は、オンプレミスの仮想化環境やパブリッククラウド環境などが混在したマルチプラットフォーム環境のデータをバックアップ可能な点と、システム障害時にデータを確実にリストア可能な工夫を施している点である(関連記事:Veeamが強調する「リカバリーに失敗しない」仕組みとは?─本社CTOに聞く)。
まず、マルチプラットフォーム環境のデータをバックアップ可能である。OSにインストールするエージェントソフトウェアを用意しているほか、サーバー仮想化環境やパブリッククラウドと連携してエージェントレスでバックアップできるようにしている。バックアップファイルは、各種環境で共通して使える可搬性の高い独自のファイル形式「.vbk」を採用。各種環境で作成したバックアップデータを各種環境に復元できる。
システム障害時にデータを確実にリストアするための仕掛けとして、バックアップ済みのデータを使って実際にシステムを起動できるかどうかを事前に確認可能な検証環境を用意している。起動できることを確認した上で、本番環境にデータを復元する、といった手順を踏める。また、必要なデータを素早く復元するため、システム単位だけでなくファイル単位やアイテム単位で復元可能である。
新製品体系「Veeam Data Platform」に刷新
今回のバージョンアップにともない、新たな製品体系「Veeam Data Platform」へと刷新した(図1)。これまでの製品構成(3種類)に変更はなく、製品名称とパッケージ体系を整備し直した。エディションに応じて、含まれる製品が変わる。最下位エディションは1製品(データバックアップの基本製品)、最上位エディションは3製品すべてが含まれる。
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基本となるFoundationエディションには、データバックアップソフトウェア「Veeam Backup & Replication 」だけが含まれる。上位のAdvancedエディションには、Foundationに加えて、バックアップ環境を監視/可視化するソフトウェア「Veeam ONE v12」が含まれる。最上位のPremiumエディションには、Advancedに加えて、DR(災害復旧)を支援するソフトウェア「Veeam Recovery Orchestrator v6」(旧称:Veeam Availability Orchestrator)が含まれる。
イミュータブルストレージを利用可能に
データバックアップソフトウェアの基本製品であるVeeam Backup & Replication(VBR)の強化点の1つが、イミュータブル(書き換え不能な)ストレージをバックアップ先として選べるようにしたこと(図2)。従来は仮想マシンに限ってイミュータブルストレージに保存できていたが、今回からバックアップの対象を問わず、トランザクションログ、業務アプリケーション、SAP HANA、NASなど、すべてのデータをイミュータブルストレージに保存できるようにした。
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接続可能なイミュータブルストレージも増えた。パブリックラウドのオブジェクトストレージの場合、これまではAmazon S3しか使えなかったが、新たにAzure BlobストレージやHPE StoreOnceストレージも使えるようになった。
バックアップ先ストレージソフトウェア(Linuxベース)への不正アクセスを防止する機能も付けた。Linuxに対する典型的な攻撃侵入経路であるSSHを初期導入時だけ有効にして、ストレージが稼働した後はSSHサービスを立ち上げずに使えるようにした。「消せないだけでなく入れないストレージにバックアップを取れるようにした」(同社)。
オブジェクトストレージへの直接バックアップが可能に
新版では、オブジェクトストレージへの直接バックアップが可能になった(図3)。これまでもバックアップデータのレプリケーション先としては使えていたが、バックアップ先として直接は使えなかった。「ちょっとしたワークロードをバックアップしたいと思ったときに、わざわざストレージを買わなくても、クラウドやオンプレミスのオブジェクトストレージに保存可能で、リストアも可能だ」(同社)。
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クラウド統合型のエージェントソフトウェアも用意した。従来、パブリッククラウド用の製品は、それぞれのパブリッククラウド上で動作し、個々の仮想マシンをエージェントレスでバックアップ可能な「Veeam Backup for AWS/Azure/Google Cloud」があったが、クラウド用のエージェントソフトウェアも用意した。
新版ではまた、PostgreSQLのトランザクションログ(WAL)をバックアップできるようにした(図4)。PostgreSQLを停止させることなく、稼働中(オンライン)のまま静止点を取得してバックアップ可能である。
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●Next:VBR以外の製品の主な機能強化点
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