Scaled Agile-Japanは2023年4月19日、アジャイル開発フレームワーク「Scald Agile Framework(SAFe)」の新版「SAFe 6.0」を発表した。アジャイル開発を組織全体で展開し、組織のアジリティを高めるためのフレームワークで、同年3月に公開を開始した。新版では、課題に対処するためのガイダンスを強化したとしている。今回、新版にあわせて、SAFeの学習などに必要な機能を1つに統合する「SAFe Studio」を提供する。
Scaled Agile-Japanの「Scaled Agile Framework(SAFe)」は、米Scaled Agileが開発した、アジャイル開発を組織全体で展開し、変化に迅速に対応するアジリティを高めるためのフレームワーク。単一のチームだけでなく、複数のチームや部門、組織全体がアジャイルの原則に基づいて連携し、ビジネス価値を継続的に提供することを目的としている(図1)。
テキストや図、動画などを用いて、アジャイル開発を成功させるためのノウハウを集約している。「記載された内容を実践することで、アジャイル開発プロジェクトを成功に導ける」としている(関連記事:アジャイル開発のノウハウをWebで無料公開、Scaled Agileがノウハウ集「SAFe」を説明)。

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SAFeを無料で公開する一方、Scaled Agile-Japanは、その教育コースや認定資格を有料で提供している。「SAFe Enterprise」は、教育コースと認定資格、SAFeの活用ノウハウ資料などをサブスクリプション型で購入可能な、包括的なライセンスである(関連記事:Scaled Agile-Japan、アジャイル開発の教育コース「SAFe Enterprise」を国内で提供開始)。
2022年9月には、日本語で履修可能な4つ目の教育コースとして、経営層/シニアリーダーに向けた「SAFe Lean Portfolio Management」をリリースした。得られる効果として、ポートフォリオの現在の状態と将来の状態が分かるほか、利益を最大化するためにどういった優先順位で取り組むべきかが分かるようになる(関連記事:Scaled Agile-Japan、経営層向け教育コース「SAFe Lean Portfolio Management」を日本語化)。
国内のSIベンダーもSAFeを利用している。例えば、NTTデータは、受託したシステム開発案件や、自社サービスの開発案件に、SAFeを適用している(関連記事:NTTデータ、デジタル変革を支援する組織体制を整備、コンサルサービスとアジャイル開発に注力)。富士通は、ユーザーのシステム構築プロジェクトにSAFeを適用するサービスや、SAfeの教育プログラムを提供している(関連記事:富士通、大規模システムにアジャイル開発を適用するサービスを提供、米Scaled Agile製品を利用)。
SAFeは、もともとアジャイル開発のためのノウハウを提供していたが、前版の5.0では、対象を業務にまで広げ、業務全体のアジリティ(俊敏性)を高めることをコンセプトに、より業務に近い部分のノウハウを拡充している。今回、自社製品をより早く市場に投入していくために必要な要素として、業務のフローを加速することに注力した新版「SAFe 6.0」を公開した(図2)。

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SAFe 6.0では、ソフトウェア開発の領域に加えて、ビジネス領域での適用をより強く意識している。同社は、SAFe 6.0の強化点を、6つのテーマに分類して説明している。全般に、今回のSAFeの進化の要は「フローに関する理解の深まり」だと同社は指摘する。「フローを評価できるようになったことで、現在の状況、各要素の状態、改善点を把握するための新しい定量的な基準が得られた」(同社)としている。
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