会員制リゾート事業やホテル・旅館事業を営むリロバケーションズ(本社:東京都新宿区)は、設備点検業務のモバイルアプリを、アステリアのノーコード開発ツール「Platio」で作成した。紙で記録・回覧していた毎日の点検結果を一元化することで、年間約1000時間の工数削減と約7万枚のペーパーレス化を実現した。アステリアが2023年6月30日に発表した。
リロバケーションズは、全国で約70カ所の宿泊施設において、施設の品質管理や安全性維持、食品衛生管理を目的に、毎日150項目以上の点検を実施している。今回、点検業務を効率化するため、モバイルアプリをノーコードで作成可能なツール「Platio」を宿泊施設に導入した(図1)。
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同社ではアナログな業務フローが負担になっていた。各施設の担当者は、紙の報告書に手書きで点検結果を記載し、支配人の確認と押印を経て、PCで作成する月次報告書に転記し、PDF化して管理部に提出していた。一方、管理部も、受領した全施設の月次報告書を目視でチェックしていたという。
Platioを導入後は、アプリケーション開発の経験がない管理部の社員が、約90分で「設備点検アプリ」を作成し、現場に導入。この結果、各施設の現場と管理部門を合わせて、年間で約1000時間の工数を削減し、約7万枚に当たるペーパーレス化を実現した。
設備点検アプリは、各施設の約100人の社員が利用している。設備の点検結果をスマホのPlatioアプリに入力するだけで、管理部への報告が終わる。優先順位の高い報告内容は、プッシュ通知でタイムリーに管理部に報告可能である。
また、各施設からのフィードバックをもとに、浴場の点検や清掃記録用の「浴場管理アプリ」(浴室の点検・清掃記録、水温管理、タンク稼働確認記録)も作成した。
「ノーコード開発環境であるため、現場の意見をアプリに反映しやすい。現場の作業者目線で継続的にアプリをアップデートしている。自分の声がちゃんと届くことから、意見も活発に上がるようになった。業務改善の新しい文化が醸成され始めている」(同社)
業務報告のアプリ化が進んだことで、管理部門は各施設の実態を容易に把握できるようになり、管理部門から現場へのフォローアップが迅速化した。今後は、アプリを通じて蓄積したデータを分析し、さらなる業務改善につなげていく計画である。