「価格.com」や「食べログ」などを運営するカカクコム(本社:東京都渋谷区)は、IFRS第16号リース資産の管理を表計算ソフトから、マルチブックのクラウドERP「multibook」に移行した。リース資産に関する業務時間が180分から10分に短縮し、レポート品質の向上や属人性の解消を図っている。マルチブックが2025年2月20日に発表した。
「価格.com」「食べログ」などを運営するカカクコムは、これまで、不動産を中心としたIFRS16号リース資産を表計算ソフトウェアで管理していた。当初は問題なく管理できていたが、年度を重ねるごとに表計算ファイルの数式が複雑化していった。
運用を続ける中、ファイルの属人化や管理工数の増加、経営判断に使うためのレポートの水準確保が課題になっていった。「不動産などのリース資産は件数が少なくても金額は大きく、財務諸表に与える影響は無視できなかった」という。
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2024年8月、IFRS第16号のリース資産管理に対応したクラウドERPとして、マルチブックの「multibook」(画面1)を導入し、表計算ソフトから移行した(関連記事:クラウドERP「multibook」、新リース会計基準に対応するための機能を2025年4月に提供)。
IFRS16号は、新リース会計基準の元となった国際会計基準である。従来、オフバランスで計上していたリース契約(オペレーティング・リース)が原則オンバランス計上となる。各種の契約がオンバランス化の対象になるが、特に不動産賃貸借契約は金額の規模が大きい(図1)。
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カカクコムによると、四半期ごとにデータ更新が必要なIFRS16号リース資産が約3件あり、表計算ソフトだと1資産あたりの管理に60分、合計180分を擁していたという。multibookでは3資産を10分で終えられるようになり、属人性の解消も図っている。また、経営判断のためのレポートの品質も向上し、「情報のリアルタイム性、網羅性、粒度を実現している」としている。
今後は2027年4月に強制適用となる新リース会計基準への対応に向けて体制を整える。子会社との連携を視野に入れて業務の効率化を進めるとしている。