止まらないセールスフォースの勢い──。NECはセールスフォース・ドットコム(SFDC)とVAR(付加価値再販)契約を締結した。今後、コンタクトセンター分野を中心に、自社の関連製品とSFDCのSaaS型CRMサービス「Salesforce」を組み合わせたソリューションを提供する。SFDCによると、単なる販売提携ではなく、VAR契約を結んだのは、国内ではNECが初めてという。
NECが提供を予定しているのは、①CTI(コンピュータと電話の統合)製品である「CSVIEW/CCBASE」とSalesforceを連携させ、着信した電話からSalesforce上の顧客情報を呼び出すCTIソリューション、②FAQ管理システム「CSVIEW/FAQナビ」とSalesforceを連携させ、Salesforceから入力した問い合わせ内容への回答を即座に検索するFAQソリューション、③Webアンケートシステム「CSVIEW/Webアンケート」とSalesforceを連携させ、アンケート結果を一元管理するeマーケティングソリューション、など。①、②は2008年度下期、③は2009年度上期にリリースを予定している。
今回のVAR契約の背景にあるのが、SFDCの顧客ベースの増加だ。9月初めに開催した自社イベントでSFDCは、ホテルニューオータニ、三菱商事石油、イオン銀行が、新たにSalesforce、あるいはSaaS型のアプリ「Force.com」の顧客リストに名を連ねたことを公表した。
日本郵政やみずほグループ、損保ジャパンに言及するまでもなく、顧客獲得の勢いは続いており、自社でSaaS基盤事業の展開を表明しているNECとしても、「SFDCは組まざるを得ない相手」になったわけだ。実際、両社の関係は今回のVAR契約にとどまるわけではなく、両社のSaaS基盤上のアプリケーションを相互連携させる計画も発表している。