[最前線]

Web技術の未来がここにある─TechCrunch 50開催レポート

最優秀賞は“ささやき”を企業内で共有する「ヤマー」

2008年11月21日(金)IT Leaders編集部

IT、特にWeb技術を活用したサービスの分野では、世界中のベンチャーが日の目を見るチャンスをうかがっている。ユーチューブ、トゥイッター…。次に成功を手にするのは誰か。2008年9月8日からの3日間、Web技術を使ってユニークなアイデアを形にしているテック系の関係者がサンフランシスコに集結。50を超えるサービスを対象にした選考イベントが開かれた。現地の模様をリポートする。

 Webを駆使した新しいサービスや会社のことを、最近では「テック」という言葉で総称する。テック系の話題は新聞や雑誌より、専門ブログで取り上げられることが多い。代表的なブログが「TechCrunch」である。

 サンフランシスコ郊外に住むマイケル・アリントン氏がテック系のニュースを扱う専門ブログ、TechCrunchを立ち上げたのは2005年のこと。今では、ブログのサーチエンジン「テクノラティ」で常に、お気に入りブログの世界トップ2位にランクされている。TechCrunchで取り上げられるかどうかが、テック系ベンチャーやサービスの資金調達や株式上場の行方を左右するほど、大きな影響力を持つ。

 一方、およそ10年前、ニューヨークのシリコンアレーで、ジェイソン・カラカニス氏がテック系のニュースを扱うタブロイド紙「シリコンアレー・リポーター」を創刊した。同氏は後にシリコンアレー・リポーターをダウ・ジョーンズに売却。現在はロサンゼルスを本拠に、人海戦術サーチエンジン「マハロ」を運営する企業を経営している。

 アリントン氏とカラカニス氏。テック系に造詣の深い2人は、優れたベンチャーやサービスを選出するイベントを企画した。それが、年に一度サンフランシスコで開かれる「TechCrunch」である。初回の昨年は、最終選考に40社のベンチャーが残ったので「Tech Crunch 40」と題し、サンフランシスコ中心部の「パレスホテル」で開催。最終選考に53社が残った今年は「Tech Crunch 50」とし、倉庫街にあるサンフランシスコ・デザインセンターに会場を移して開かれた(写真1)。

画像:写真1


 同センターは家具やインテリアが買えるショッピングセンターとして、サンフランシスコの市民には有名な場所だ。倉庫を改造した一部の建物がイベント・スペースになっている。そこに、世界各国のテックベンチャー、ベンチャーキャピタル、IT関連の報道機関が一堂に会した。

メイン会場前の展示エリアも熱気に包まれる

 会場であるデザインセンターに入るとまず、「デモピット」が目に飛び込んでくる。プレゼンテーションが行われるカンファレンス・ホールの前に設けられた特設エリアだ(写真2)。有望ベンチャーが所狭しとデモ用のテーブルを並べ、各社の広報担当者が熱弁を奮っている。

画像:写真2


 TechCrunch 50 の入場者は、初日に受付で3枚のトークンをもらう。デモピットの出展ベンチャーは毎日入替制になっていて、入場者はプレゼンテーションの合間にデモピットを訪れて、それぞれの日に一番と思ったベンチャーに1枚ずつトークンを渡す。3日続くイベント期間中に最も多くのトークンを集めたベンチャーは、最終日に表彰される仕組みになっている。

 そのためデモピットは常に熱気に包まれている。自社のサービスの素晴らしさを説明しようにも、まずは入場者に足を運んでもらわなければいけない。そこでデモピットに出展している各社は、思い思いのやり方で入場者集めに奔走する。ポップコーンを弾けさせたり、チキンスープをふるまったり。デジタルなイベントであっても、人を惹きつけるのはやはり「食い気」ということだろう。

 いつも思うことだが、海外で開かれるこの種のイベントは朝が早い。メインプログラムは9時の開始だが、7時30分には開場して、最終選考に残ったプレゼンターや参加者が朝食のパンとコーヒーを片手に歓談を始めている。それでいて、日中のイベントの後、アフター5は深夜までクラブで踊り興じながら名刺交換する。そんな日々が3日間も続く。TechCrunchのイベントをマラソンと形容した人がいるが、実に的を射た表現だと思う。

Web分野の成功者が、未来の成功者を審査

 9月8日、時計の針が予定の9時から30分ほど過ぎた頃、米国国歌の斉唱でカンファレンスが幕を開けた。会場に設置されたWiFi(無線LAN)の調子が悪く、それを復旧するのに時間を要した模様だ。

 TechCrunchでは最終選考に残ったベンチャーを、「若者層向け、文化」や「エンタープライズIT」など、ビジネス分野別に12カテゴリに分けて審査していく(表)。審査員は、それぞれのカテゴリですでに上場を果たしたり、地位を築き上げたドットコム企業のCEO(最高経営責任者)らが務める。成功者が、これから成功する者を審査するという構図だ。

表 TechCrunch 50 で設けられた、ビジネス分野別のセッション
セッション1 若年層向け、文化
セッション2 ニュース、ミーム(ネット上の流行やトレンド)
セッション3 エンタープライズIT
セッション4 広告、コマース収益化
セッション5 コラボレーション
セッション6 金融と統計
セッション7 モバイル
セッション8 言語、コミュニケーション・ツール
セッション9 リッチメディア(映像・音声など)
セッション10 ゲーム
セッション11 バーティカル(分野特化型)ソーシャル・ネットワーキング
セッション12 リサーチ、レコメンデーション

 最終選考に残ったベンチャーに与えられるプレゼンテーションの持ち時間は8分。ベンチャーの経営者らは審査員や聴衆が見守る中、時間をフルに使って自社サービスを最大限にアピールする(写真3)。

画像:写真3


 プレゼンテーションが終了すると、審査員がベンチャー経営者に質問をして寸評を行う。そして個々のベンチャーを採点する。評価の公平性を保つため、プレゼンする企業に出資している審査員は、その企業にポイントを投票できないルールになっている。

 最終選考に残った53社の中から、審査員や聴衆から高い評価を得ていたベンチャーをいくつか紹介しよう。

スワイプ

 通常のキーボードのパンチングの代わりに、タッチスクリーンに表示されたキーボードを指で一筆書きすることで文字入力できるテクノロジーだ。辞書を内蔵しており、一定の単語を予測変換する機能を備えている。現在、Windows Mobile、同XP、同Vista用のアプリケーションがリリースされている。

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