セールスフォース・ドットコムは2009年3月4日、SIerなどのパートナー企業を対象とした支援制度「Force.comパートナー・プログラム」を発表、同年4月から順次開始する。ユーザー企業から見ると、自社システムのForce.comへの移行や新規システムの開発が容易になるのがメリットだ。
セールスフォース・ドットコムのパートナー支援制度「Force.comパートナー・プログラム」は、「教育」「コンサルティング」「サポート」と、大きく3つで構成する(表1)。
教育は、Force.com上でアプリケーションを開発する技術者を対象とし、プログラミング言語「Apex Code」やユーザーインタフェース開発環境「Visualforce」の基礎を教える。
コンサルティングは、セールスフォースがこれまで培ってきたアジャイル開発手法をベースとしたコンサルティングの方法論を公開するもの。パートナーが実際に受注した案件においては、プロジェクトの節目でセールスフォースのコンサルタントが問題の有無をレビューする体制も整える。
最後のサポートは、パートナー企業による顧客サポートをセールスフォースが支援する制度。顧客からの問い合わせや対応履歴を双方で共有し、必要に応じてアドバイスを加えるなどして迅速な対応を図る。
名称 | 概要 |
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パートナー教育プログラム | プログラミング言語「ApexCode」や画面開発環境「Visualforce」を用いたアプリケーション開発のトレーニングプログラムを提供。基礎技術を2週間で習得する短期集中コースも今夏までに用意 |
パートナー・コンサルティング・プログラム | アジャイル開発手法をベースとしたコンサルティング方法論を公開。セールスフォースのコンサルタントがレビューを含む技術支援を固定価格で提供する「エキスパート・サービス」も提供 |
パートナー・サポート・プログラム | パートナー企業による顧客サポートを支援するプログラム。顧客からの問い合わせや対応履歴をパートナーとセールスフォースが共有し、一丸となってサポートする体制を提供 |
SaaSに対するユーザーの目は検討から具体的な導入に
支援プログラムの発表当日、同社はパートナー向けセミナー「Partner Summit 2009」を開催した。スピーチの壇上に立った1人は、米国でForce.comやGoogleAppsなどを対象にSaaS関連ビジネスで急進するアピリオ社のクリス・バービン社長(写真1)。「SaaSに対するユーザーの目は、関心や検討のフェーズから具体的な導入に向かっている。この市場では、既存システムからの移行コンサルティング、カスタムアプリケーションの開発、サービス間連携ツールの提供など様々なビジネスがあり、顧客が何に困っているかを見極められる企業が商機をものにする」と強調した。
支援プログラムの提供を機に、セールスフォースは国内でもForce.comをベースとしたカスタムアプリや各種ツールの品揃えを充実させたい考えだ。
サービスの価格体系は、教育は2週間のコースで50万円から、コンサルティングは5日間で約80万円など。
SIerの多くはこれまで、ハード費用やソフトのライセンスなど、納入後すぐに大きな売り上げが立つビジネスに慣れ親しんできた。それが難しいSaaSの分野で、ユーザー企業にとって頼りになるパートナーがどれだけ増えるのか。セールスフォースが、パートナーとユーザーを含めた互恵関係の図をどれだけ説得力を持って語れるかにかかっている。