富士通は2009年10月20日、アプリケーション変更管理の新製品「Systemwalker IT Change Manager」の販売を開始した。主に大規模データセンターを運用する企業向けの機能を充実させた。
Systemwalker IT Change Managerは、アプリケーションへのパッチ適用やアップグレードといった作業を支援する製品。アプリケーション変更の承認申請ワークフロー機能を搭載し、変更が承認されると、変更プログラムのサーバーへの送信から、アプリケーションの停止・再起動を含む更新プログラム適用作業を自動的に実行する。
システムが大規模になると、アプリケーションがどのサーバーで稼働しているかを運用担当者がすべて把握するのは至難の業だ。Systemwalker IT Change Managerでは、システム構成情報を専用の構成管理データベース(CMDB)に格納することによってこれを解決した。具体的には、各サーバーに専用のエージェントをインストールし、エージェントがサーバー内のアプリケーションの名称やバージョンといった情報を自動収集。定期的に管理用サーバーにあるCMDBに送信することで、サーバーとアプリケーションを関連付けする。更新担当者がWebブラウザ経由で管理用サーバーにアクセスし、更新対象のアプリケーションを指定すると、アプリケーションが導入されているサーバーを自動的に一覧表示する。
そのほかの特徴として、CMDB内に“原本”となるアプリケーションを保存し、原本と稼働中のアプリケーションとのハッシュ値を比較することで、更新プログラムの適用状況を確認する「Finger Print」機能を備える。「従来も変更監視機能を持つ製品はあったが、プログラムのバイナリ単位の変更の有無までは把握できなかった」(ミドルウェア事業本部システムマネジメント・ミドルウェア事業部第四開発部部長の石橋 宏司氏)。未承認の変更を検知した場合には、CMDB内の原本から復元するか、ワークフローにより事後承認するかを選択して処理できる。
.Net FrameworkとJ2EEで構築したアプリケーションを管理の対象とする。J2EEの場合は、同社の「Interstage」のアプリケーションサーバー上で稼働するアプリケーションのみサポート対象となる。来年度以降は、日本オラクルの「WebLogic」、日本IBMの「WebSphere」のアプリケーションサーバー上で稼働するJ2EEアプリケーションにもサポートを拡大する予定だ。
主に仮想化によるサーバー統合が進んだ大規模データセンターでの活用を想定する。仮想サーバー内のアプリケーション変更管理は、同社のサーバー管理用ソフトウエア「ServerView Resource Coordinator VE」との連携によって実現する。今回の製品はアプリケーション変更管理の自動化に焦点を当てたが、「今後はシステム運用全体の自動化を実現するための製品を投入していく」(ミドルウェア事業本部システムマネジメント・ミドルウェア事業部事業部長の大西 真吾氏)考えだ。
価格はプロセサライセンスで1管理サーバー150万円から、エージェントは10万円から。09年10月下旬に出荷開始する。