[インタビュー]

「仮想化環境にはネット接続の簡素化が必要」---米Brocade幹部

2010年6月17日(木)IT Leaders編集部

SAN/ネットワーク機器ベンダーの米Brocade Communications Systemsは、仮想化/クラウド環境における運用コストの削減を狙い、ネットワーク・アーキテクチャを簡素化するビジョン「Brocade One」を掲げる。2010年第4四半期以降、このビジョンを実現するための技術を、スイッチ機器に実装する。

 「Brocade One」ビジョンを実現するため新技術は、大きく2つある。1つは、複数の小型スイッチを束ねて単一のスイッチとして利用できるようにする「VCS」(Virtual Cluster Switching)。もう1つは、スイッチ機器と仮想サーバーとのネットワーク接続性を確保する「VAL」(Virtual Access Layer)である。

 インプレスビジネスメディアは2010年6月16日、同ビジョンと製品ロードマップの発表に合わせて来日した同社幹部に、ネットワーク簡素化の背景と技術の概要を聞いた。ワールドワイド・セールス担当シニアVPのIan Whiting氏と、データ・センター製品部門プロダクト・マネジメント担当VPのDoug Ingraham氏である。

---現状のネットワークが抱える課題と解決策は。

Ian Whiting氏:サーバー機やストレージなどのIT機器が増え続けている。アプリケーションの種類も増えている。ネットワーク機器は、これら増え続けるIT資源に対応していかなければならない。別の側面では、IT需要が、IT予算の拡大を上回るペースで増加している。ITのために十分なリソースを使える企業は、ほとんどない。限られたリソースを有効に活用しなければならない。こうした課題に対する解決策の1つが、ネットワーク・アーキテクチャの簡素化だ。このために、VCSやVALといった技術を用意した。

---VCSはどのような技術か。他社の技術と違うポイントは

Doug Ingraham氏:VCS(Virtual Cluster Switching)は、複数のスイッチ機器を束ねて、単一のスイッチ機器として使えるようにする技術だ。スイッチ間は、イーサネットを使って、任意のトポロジで接続できる。次世代イーサネットのマルチパス接続規格であるTRILL(TRansparent Interconnects of Lots of Links)を利用する。競合他社とは異なり、専用ポートなどの特殊な道具立てを必要としない。

 VCSのメリットとして、まず管理対象のスイッチ機器の数が抜本的に減る。また、スイッチ機器のレイヤー(階層)が単層化する。ネットワークの維持のために利用するプロトコルの数を削減できるほか、ネットワーク管理の複雑性を排除できる。VCSは、2010年第4四半期以降、最新のASICを搭載したスイッチ機器で利用可能になる。VCS向けにラックマウント型スイッチBrocade X7XXシリーズ3機種を用意する。

---VALはどのような技術か。

Doug Ingraham氏:VAL(Virtual Access Layer)は、スイッチ機器と仮想サーバーとのネットワーク接続性を確保する技術だ。このうえで、仮想サーバーとポートの属性プロファイルを作成し、管理する。これにより、仮想サーバーごとの帯域設定やセキュリティ・ポリシーなどを、外部の運用管理ソフトなどから管理/制御できるようになる。

 VALは、スイッチ機器が仮想サーバーを認識/特定できるようにするVirtual Ethernet Port Aggregator(VEPA)や、仮想スイッチ機能を物理スイッチ機器や物理ネットワーク・アダプタにオフロードするVirtual Ethernet Bridging(VEB)などの標準技術を含んでいる。VALの機能では、AMPP(Automatic Migration of Port Profiles)と呼ぶ技術を提唱し、標準化に向けて他ベンダーと話し合っている。AMPPは、仮想サーバーとリンクしているスイッチ・ポートの属性プロファイルを、仮想サーバーの場所がマイグレーションなどによって移動した際に、自動で仮想サーバーに対して割り振り直す。

青葉雅和氏:VALは、仕組み上、どのようなサーバー仮想化ソフトでも利用できる。例えば、米Cisco Systemsの製品群は米VMwareとの組み合わせで動作するが、VALは、米VMwareだけでなく、米Citrix SystemsのXenServerや米MicrosoftのHyper-Vと連携できる。

米Brocade Communications Systems、ワールドワイド・セールス担当シニアVPのIan Whiting氏(中央)、データ・センター製品部門プロダクト・マネジメント担当VPのDoug Ingraham氏(左)、日本法人社長の青葉雅和氏(右)

【訂正2010/6/21】 記事掲載当初、Brocade X7XXとBrocade 8000でVCSを利用で きるとしていましたが、誤りです。Brocade 8000はVCSを実装しません。本文は 訂正済みです。

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