既存システムの棚卸し、基本構想やロードマップの策定、社内推進体制の整備……。 SOAに挑む上で、検討すべきことは広範囲に及ぶ。進め方を誤ると、途中でプロジェクトが失速しかねない。 遠回りをしないためには、経験を積んだ専門家の支援を仰ぐことも有効な策となる。
部屋の大掃除を兼ねて大胆に模様替えをしたくても、あまりに散らかっていては何から手を付ければいいか分からない…。これは企業がSOAを適用しようと考える時にも当てはまる。
SOAに沿って自社システムをスッキリした構造に移行するにはまず、既存システムを棚卸しし、個々のアプリケーションが他のそれとどう連携しているかといった状況を「見える化」することが欠かせない。しかし、それすら、どう始めるのが効率的か判断がつかないという声は少なくない。
場数を踏んだ家事支援サービス業者がテキパキと作業を進めるように、SOAについても「その道の専門家」に指針を仰ぐことが早道の1つ。SOAに関わるベンダーやコンサルティング会社が導入支援サービスを提供しており、これらの窓口に相談を持ちかけてみることが有効な選択肢となる。
各社は、SOAを適用したシステム構築をスムーズに進められるよう、手順や組織体制など具体的なアプローチ方法を提案するメニューを用意している。表5に主要なSOA導入支援サービスをまとめたので参照してほしい。
短期間で効果を発揮、迅速なSOA導入を推進
大上段に構えることなく、まずは「最初の1歩」を踏み出すことを支援してほしい−。こうしたニーズに応えるべく、最近は「短期」を売りにしたサービスが増えている。
アクセンチュアの「SOA診断サービス」は、顧客の要望に合わせて5日間や20日間といった短期で利用できる。現状の課題把握や、着手すべき項目の優先順位付けなど、目的を絞って早期に効果を見い出したいとする企業に有効だ。
レッドハットの「Red Hat SOAソリューションスタータキット」は、現状分析などのコンサルティングと、実務に携わる技術者向けのトレーニングで構成。「2つのサービスを約8日間で実施し、SOAプロジェクトの早期立ち上げを支援する」(レッドハット JBoss事業本部 事業部長 岡下浩明氏)という。
ソフトウェア・エー・ジーの「SOA導入支援サービス」は、導入までのスケジュール作成や必要となる製品構成、概算費用などを約10日間で報告書にまとめる。
一連の流れを細分化、段階的に効果を実感
実際のプロジェクトは、基本構想の策定から実務面でのロードマップ作り、推進体制の整備など、やるべきことの範囲は広い。一連の取り組みの節目で成果を実感できるように、支援サービスも細かいフェーズに分けて提供するのが最近の傾向だ。
日本オラクルは、2008年8月に発表したSOA導入支援サービス「SOA Insight」を拡張し、現在はEAも含め「Architecture Insight」としてサービス群を用意する(図5-1)。目指すべきゴールの設定から実施時の概算策定までを6つのフェーズに分割し、段階的に作業を進める。主にワークショップ形式で同社のアーキテクト数人と議論しながら課題を解決していく。
日本HPの「HP SOA 7サービス」や日立ソリューションズの「SOA導入ソリューション」も同様に、策定作業からシステム構築や運用までのフェーズを個別にサポート。策定作業のみ、といったニーズにも応える。
ユーフィットの「IT Planning SOA」は、図5-2のように支援内容や適用範囲に応じた分かりやすい支援メニューを用意している。
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